= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.063

2009年2月27日
(毎週金曜日発行)


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Card Magic Library 第3巻の内容紹介 パート1

第3巻はたいへんでした。ホフジンサーの英語版を読破することが一仕事、そしてそれを読者の方に気持ちよく理解していただけるように日本語にすることが、これまた大仕事でした。その苦労の甲斐あってか、ホフジンサーの超絶的なカードマジックを理解したとき、そのすごさに感嘆させられました。

現代カードマジックの傑作である、'マクドナルドエーセズ'や'プレモニション'の原案は間違いなくホフジンサーの考案したものです。スプレッドカルはもちろんのこと、ワイルドカードに使われているチェンジの技法も、コンビンシングコントロールでさえ、原案となるものはホフジンサーが考えていたのです。

作品の解説には、ホフジンサーの使ったセリフがきちんと書かれています。これがたいへん勉強になります。ホフジンサーはいきなりカードを取り出してマジックを始めるということはしません。必ず世間話的なものをしてから、マジックに入っていきます。そのへんが、セレブ相手に社交家として大成功したマジシャンの秘訣だったと思います。

皆さんぜひ、ホフジンサーのカードマジック学んでください。代表的な作品の概略を紹介しておきましょう。

シンパセテックナンバーズ

今日において、'サイコロジカルストップトリック'と呼ばれるマジックは、すでにホフジンサーが、今日よりももっとすごい現象として演じていました。彼はストップしたところからフォーオブアカインドを出現させていたのです。

シノニマスソウツ


1組目のデックから2人の客が選んだカードを、ポケットに入っている2組目から抜き出して見せるという現象。この作品には、コンビンシングコントロールの原形技法が使われています。

ザフォーエイト

デックの中にバラバラに入れた4枚の8のカードと、テーブル上の4枚が入れ替わります。この作品の最後では、のちに'ホフジンサートス'として有名になる技法が使われています。

ソウツ

マジシャンはあらかじめ1枚のカードをテーブルに置いておきます。それから客が好きな1枚のカードを言います。テーブルのカードを見せると、客の言ったカードです。最近このような現象を見たことがありませんか。そうです。アーマンド・ルセーロの得意技です。様式は違いますが、原理と根本的な現象は、ホフジンサーのこの作品に端を発しているのです。

ザパワーオブフェース

'マクドナルドエーセズ'は、間違いなくホフジンサーが原案者です。そのあと出現する数多のバージョンは、たんにこのホフジンサー作品の一部を変えているにすぎません。歴史に燦然と輝く作品が生まれた、その原形を学んでください。

ドミネーションオブソウツ

そして偉大なマジックの原形が続きます。エディ・ジョセフを有名にした'プレモニション'ではありますが、その90%はホフジンサーの頭脳から生まれたものです。この大傑作に10%のアイデアを加えた、ジョセフの作品としてしまったのは、歴史の歪曲としか言えません。私は、この作品を知って、いかに昔からマジシャンがリップオフ(盗作)に近いことをやってきたか、この作品で思い知らされました。この作品については、多くのバリエーションが登場したので、そのへんの経緯も紹介しています。

リメンバー&フォーゲット

この作品の最後の部分をを引用します。
「これらは皆さんが忘れたカードですね」と問いかけると、3人の客は否定します。すかさず、「どうして忘れたカードでないとわかるのですか。忘れたはずなのに」と言って終わります。
洒落てますね。このセリフにかぎらず、ホフジンサーのカードマジックは、セリフが洒落ています。そうでなければ、人々を魅了できないのです。最近の若手マジシャンはテクニックはすごくても、しゃべりのトレーニングをしたらよいのにと思います。少なくとも、しゃべる内容について、ホフジンサーのセリフは役立つはずです。

まだまだホフジンサーの傑作マジックが収録されていますが、紹介はこのぐらいにしておきましょう。作品を解説するだけでなく、随所に私の注釈を加え、読み物としても面白いものになっていると思います。たんにトリックを多く知るだけの読書ではなく、あなたのカードマジックのセンス、内面的実力アップのためにも、ぜひ読んでいただきたいと思います。

来週は、"フォーオブアカインドリビレーション"の章についてご紹介いたします。

ではまた来週。