= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.111

2010年1月29日
(毎週金曜日発行)


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引き続き、"Card Magic Library 第5巻"の内容を紹介させていただきます。

サイクリックスタック

パワーオブソウツ系

ホワン・タマリッツが出演したテレビ番組で、つぎのような現象のマジックを演じて、ものすごい反応を得ていたことがあります。

客がデックの中の好きな位置にある1枚を表向きに返します。そのデックともう1組のデックをトップから照合していくと、一方に客が選んだカードが現れたとき、他方のデックからも同じカードが現れます。

この現象は、ポール・カリーの'パワーオブソウツ'(1947年)に原点がありますが、1957年に雑誌"ペンタグラム"に発表された、ロイ・スコットの'クラニッシュ'は、まったくテクニックを必要とせず、数理的原理だけによって、見事な一致現象を可能としました。

その原理の素晴らしさに触発されて、マルローもバリエーションを作りましたし、タマリッツがあのテレビで演じたバージョンも、スコットの発見した原理にもとづいているのです。"Card Magic Library 第5巻"では、それらの作品を紹介し、そしてニック・トロストの現象発展バージョンも解説しています。トロストバージョンの現象はつぎの通りです。

客がデックの好きなところでカットして、カットしたところのカードをひっくり返します。マジシャンはそのデックはいっさい操作しません。マジシャンは別のデックを取り出し、背後で1枚のカードをひっくり返します。両方のデックを表向きに置き、同時に1枚ずつとげていくと、同じ枚数目に裏向きのカードが現れます。それらを表向きにすると、同じカードなのです。

ウィルザカードマッチ系

サイクリックスタックを使うトリックとして、傑作と言われるのが、ハワード・アダムスの原作を発展させた'Will The Card Match'です。Mr.マリックはこのトリックを、CDを使ってテレビで演じました。つぎのような現象です。

10枚のCDを重ねたものを、客にカットさせてから、5枚と5枚の山に分けます。1人目のタレントに、CDを4回上から下にまわさせます。まわすのは同じ山だけでなく、1枚をひとつの山でまわして、3枚を他の山でまわしても、とにかく合計4回自由にまわさせます。4回まわしたあと、両方の山のいちばん上のCDをそのタレントの前に置きます。

2人目のタレントは残りの4枚ずつの山で3回まわします。そして両方の山の上から1枚ずつCDを取ります。3人目は2回まわし、4人目は1回まわし、5人目は残りの2枚のCDを受け取ります。その結果、それぞれのタレントが持っているCDのタイトル面を見ると、どちらのCDもそれぞれのタレントのリリースしたCDなのです。


このトリックも多くのマジシャンがバリエーションを作りました。マーチン・ガードナー、ラリー・ベッカー、ロイ・ウォルトンなどの作品を紹介しています。

プリディクション系

雑誌“ジニー”1982年11月号に掲載された、レイモンド・ビービの‘マジカルマッチング’は、つぎのような現象のトリックです。

相手がデックから1枚のカードを選んで、雑誌の下に隠します。マジシャンも1枚のカードを選んで雑誌の下に入れます。そして残りのデックをケースに入れて、上着のポケットにしまいます。そしてズボンのポケットから別のデックを取り出します。そのデックをケースから取り出して広げると、中央に2枚の表向きのカードがあります。雑誌をどけて、2枚のカードを表向きにすると、表向きの2枚と同じカードです。

ビービのやり方は、メネテケルデックを使用するので、デックを広げるときに、表が観客に見えるように広げることはできません。最後にひっくり返った2枚を見せるときも、原案ではデックを裏向きに広げて、表向きの2枚を見せざるを得ませんが、サイクリックスタックを使った私のやり方では、表向きに広げて裏向きの2枚を現すことができます。ちょうど'インビジブルデック'のような現し方です。裏向きに現して2枚を表向きにするからこそ、クライマックスとなるのです。

手前味噌になりますが、この作品も私の大自信作のひとつです。サイクリックスタックの章には、合計23作品が集録されています。

編集進行状況

"Card Maigc Library 第5巻"の原稿作成は、本日完了いたしました。明日印刷会社に手渡します。印刷完成のめどが確定したあと、注文受付を開始させていただきます。

ではまた来週。