= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.113

2010年2月12日
(毎週金曜日発行)


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Card Magic Library第5巻 内容紹介

第15章 ギルブレスプリンシプル

すでに説明した通りです。

第16章 等式プリンシプル

数理的原理の中には、原理を等式で現すことができるものが色々あります。この章には、そのような原理が使われている作品を収録いたしました。

ジョン・バノンの'タイムリーディパーチャー'では、数理的原理を使いながら、3人の客の選んだカードが消失したあと、デックをスプレッドすると、3枚がリバースされて現れるという、インパクトの強いビジュアル現象を実現しています。

スチュワート・ジェイムスの'ミラスキル'は、等式プリンシプルを使ったトリックの傑作と言われますが、見せられたあとよく考えると、トリックがわかってしまうという弱点がありました。ところが赤いカードと黒いカードの枚数で演じたこのトリックを、マーク別の枚数に置きかえた、サム・シュワルツの'王様の家来'は、トリックが見抜かれる可能性がなくなったことと、演出面で磨きがかかったことによって、原案をはるかに越えたものになっています。ジェームスの原案をご存知の方は、シュワルツが変更した点にきっと感動されるに違いありません。

第17章 サイクリックスタック

すでに説明した通りです。

第18章 マトリックスプリンシプル

ルイス・ヒステッドの'ミラクルディヴィネーション'は、つぎのような現象のトリックです。

5人の客に5枚ずつ渡し、それぞれの客に5枚の中の1枚をおぼえてもらいます。それら25枚のカードが集められてシャフルされたあと、ふたたび5枚ずつ5組に分けて、それぞれの組のカードを読み上げていきます。ある客のカードが読み上げたカードの中にあったとき、マジシャンはその客のカードを当てます。そのようにしてすべての客のカードを当てます。

今日では、ヒステッドの原案を土台とした、サイモン・アロンソンの'ヒステッドヘイステッド'が有名ですが、どちらもメモライズドスタックを使ってミスコールします。すなわち、読み上げるとき、読み上げるカードのフェースは観客に見せられないのです。

私はこの2作品を読んだとき、どちらもマスターしようとはしませんでした。なぜなら、25枚がシャフルされたあと、5枚ずつフェースを見せてその中に客のカードがあるかたずねていく、レオ・ホロヴィッッの'トゥェンティカードトリック'を知っていたからです。

ぜひ皆さんも、これらの作品を比較して、メモライズドスタックという現代では最強の技法と思われているものが、けして最強の不思議さを生み出すものではないということを確認してください。

もちろんマトリックスプリンシプルのこの章には、この原理を使った最高傑作である、アレックス・エルムズレイの'クロス25'を収録しています。この作品は、2人のカードを当てる'カード当て'ですが、私は同じ原理を利用して、ビジュアルな現象を生み出すことに挑戦して、'クロスフォー'を創案いたしました。つぎのような現象です。

マジシャンが後を向いている間に、相手が表向きにリボンスプレッドされたデックから、同色同数のカードを2枚取って、ポケットに隠します。残りのカードを5枚ずつ分けて相手に見せ、どの組とどの組に相手が隠したのと同じ数のカードがあるかをたずねます。それをきいて、マジシャンは裏向きのカードの中から2枚のカードを抜き出します。ポケットから隠されていた2枚を出して、それら4枚を表向きにすると、全部同じ数のカードです。

第19章 フリーカットプリンシプル

この原理は、数理的原理でありながら、ビジュアルな現象を生み出します。私は1967年にこの原理が世に現れた年に訪米し、この原理を用いたトリックを見せられて驚嘆しました。そのあと、そのトリックが私を驚かせただけでなく、アメリカ中のマジシャンを驚かせたことを知りました。

しかしいくら大傑作マジックにも、日本人の観客には使えない致命傷がありました。それはデックの中にバラバラに入れられた4枚のAを出現させるのに、カードの名前の英語のスペルを使うのです。こればかりは日本語に置きかえられません。

しかし考案者のジーン・フィネルは、スペルではなく、カードの数を使って現すバージョン、'エーセズアットランダム'も考えていました。この章に収録いたしました。つぎのような現象です。

4枚のAがデックの中に分散されたあと、トップから4枚のカードを一列に並べます。そのうちの1枚を表向きにします。それがQですから、そのカードの手前に12枚のカードを置きます。つぎは残りの3枚のうちの1枚を相手が表向きにします。それが7のカードであるとしたら、そのカードの手前に7枚のカードを置きます。つぎに相手が表向きにしたのがJであるとしたら、そのカードの手前に11枚のカードを置きます。最後のカードを表向きにすると5であるとします。その手前に5枚置きます。そのようにしてできた4つの山を表向きにすると、フェースに4枚のAが現れます。

第20章 マセマティカルカードトリックアラカルト

Part 1 CATO
Part 2 リバースファーロー
Part 3 7 - 16
Part 4 コーディングトリック
Part 5 ダウンアンダー
Part 6 ロイヤルタウン
Part 7 その他

これらの中にも傑作が満載ですが、ロイ・ウォルトンの'ロイヤルタウン'にもとづく私のバリエーション、'ツインサーチ'はパケットトリックの単独商品としていつか販売しようと温存してきた、私の大切な作品です。ご期待ください。

それでは、序文と目次はPDFでご覧になってください。

序文と目次

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発送開始日:2010年2月26日

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目標の全10巻の折り返し地点を通過いたしました。すでに第6巻(スライトオブアイズ)と第7巻(フォーエースアセンブリー)の基本原稿は書き上がっていて、第8巻の執筆を開始いたしました。第8巻は、'エッセンシャルスライツ'(仮称)と銘打って、重要技法を1冊にまとめます。

ではまた来週。