= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.231

2013年9月27日

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"Cardician's Journal"再開のお知らせ

"Card Magic Library"を2012年5月に完了して以降、"Card Magic Magazine"を発行していますが、これから発行していく第30号までの原稿は、すでにすべて書き終わっています。あとは写真を撮影して編集し、毎月アップロードするだけとなりました。

"CMM"完了後は、"CML"にも"CMM"にも使用しなかった私の作品について、1冊にまとめて"加藤英夫作品集"を発行いたします。すでに同書の原稿も書き上がっています。250ページ、200作品を越えるものとなります。

以上をもって、私がいままで研究蓄積してきたものを集大成する仕事は完了となります。しかしまだ私のカードマジック研究は終わりではありません。これから研究することの発表の場として、"Cardician's Journal"を再開することにいたしました。

ただしこれからの号は、必ず毎週発行しないかもしれません。なにせ私が蓄積したものは、ほとんどすべて出し尽くしたあとですから。なるべく毎週発行できるようにがんばりますが、いずれにしてもときどきチェックしてみてください。

'OOTW'のセットはどうしたらよいでしょうか?

マジックカフェに'アウトオブジスワールド'を演ずるまえに、どのようにして赤黒分離状態にセットしたらよいでしょうかという質問投稿がありました。私はこの投稿を見て、きっと変な回答がどんどん出てくると思い、私の考えを投稿するのは後回しにしました。

最初の回答は、"ハリー・ローレインの'グレートディバイド'で赤黒を分ければよいでしょう"というものでした。

'グレートディバイド'と言えば、レナート・グリーンの'アングルセパレーション'の親類のような技法です。ローレインに言わせれば、グリーンがローレインの'グレートディバイド'をリップオフして'アングルセパレーション'を発表したとのことですが、この論争については、またの機会にお預けにしておきます。

いずれにしてもそんな技法で赤黒を分離したあとに'OOTW'を演じたのでは、「あのときに何かの準備をしていたのでは?」という、ヒントになってしまうでしょう。


つぎに、"OOTW"のまえに演じるマジックの中で、赤黒を分離させればよいでしょう、という指摘があり、そのひとつの実例が説明されました。しかしそれはとても苦しいもので、ここで説明する気にもならないものでした。

つぎの回答は、"準備のいらない、即席版のOOTWを演じればよいでしょう"というものがありました。他のマジックの途中で演じるには、たしかに即席版は適しています。しかし原案ほど素晴らしいマジックだとは、私は思いません。

そしてとうとう出ました、私が恐れていた回答が。相手にデックをシャフルさせてから、デックスイッチを行えばよい、というのです。

さらにはその意見に輪をかけたように
デックスイッチしたあとに、赤黒分離を保つフォールスシャフルするとよいという意見も出ました。

そして機会を得ては自分の本の広告する、あのハリー・ローレインの登場です。彼のグレートディバイドを使えばよいという意見がありましたが、ローレイン自身は'OOTW'のまえにはグレートディバイドは向いていないと述べ、彼の'アウトオブユニバース'の解説に書かれている、まえのトリック演技中にセットする方法を奨めていました。すなわち、その本を持っていない人は買ってください、ということです。


スロップシャフルで裏表混ぜたのがそろう現象を見せて、赤と黒を分離する、ということを指摘する回答も出ましたが、これが出た中でいちばん現実的な回答のような気がします。

'ロードランナーカル'を使うとよい、という回答もありましたが、はてさて、私はそろそろつぎのように回答しようかと思いました。

皆さん、'OOTW'はそのように無理して客の前でセットして演ずるマジックではないと思います。どうしてもシャフルされたデックで演じたいなら、ストリッパーデックを使ってノーマルデックで演ずるマジックをいくつか演じたあと、赤と黒を分離して'OOTW'に続ける、というやり方もないことはありません。

ということを考えましたが、私は投稿しませんでした。この投稿は、他のすべての投稿者の考えを否定する投稿になってしまうからです。

そもそも'OOTW'のようにプロセスのかかるトリックは、他のマジックとともに長時間見せるのには適しているとは思いません。他のトリックのあとではなく、ひとつだけマジックを見せるという状況で演じるというのが、'OOTW'に適しているのではないでしょうか。