= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.234

2013年10月18日

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前号では、現象と現象の関連性の重要性について述べましたが、例題として取り上げたトリックは、原案にしろバリエーションにしろ、どちらも納得がいかなくて、どうしたら現象と現象がうまくコラボするか、考え続けました。

最初の出現現象とあとの消失現象が組合わせされて、その結果ひとつの現象になればよいと考えて、つぎのような現象のトリックを作りました。

4枚のブランクカードをカウントして見せます。ひっくり返してからまたカウントし、両面ともブランクであることが見せられます。

魔法をかけてから4枚をカウントすると、1枚のカードに裏面が現れています。そのカードを裏向きにテーブルに置きます。またカウントすると1枚に裏面が現れます。それを抜いてテーブルに裏向きに置きます。さらに同じやり方で3枚目が現れ、やはりテーブルに裏向きに置きます。

そしてもういちどカウントすると、4枚目に裏面が現れて、他のブランクカードは消失しています。4枚のカードをひっくり返すと、すべてKになっています。


この現象のつながりなら、両面ブランクカードが、前半では裏面が現れて、後半では一気に表面が現れる、という現象になります。

ところがこの手順を何回も繰り返し練習するうちに、別の疑問が持ち上がりました。現象のつながりは解決したとしても、最初の現象自体に問題があるのではないか、ということです。

上記のブランクカードを使うバージョンで、最初に両面がブランクであることを見せる部分を割愛してみましょう。そうすると現象は、3枚のブランクカードの間に1枚の裏向きのカードが現れる、ということの繰り返しになります。

この現象のつまらなさが、それを生み出す手法の単純さと相まって、マジックとしての面白さを生み出していないのではないでしょうか。一言で言えば、重ねて隠しているカードを現しているだけなのです。

結局のところ、最初の部分はつまらない現象なのに、最後に起こる現象の面白さがあるために、最初に動画を見てからここまで気持ちが引きずられてきたのです。ならば、最初の部分を捨ててしまうことにしましょう。

ゴーストキングス
= 加藤英夫、2013年10月15日 =

準 備

ノーマルな4枚のKを表向きにして、その上に3枚の両面ブランクカードを重ねます。

方 法

ブランク面を上にしてパケットを取り出し、ジョーダンカウントで全部ブランクに見せます。私は1枚目として取ったカードを、2枚目を取るときに右手のカードの下にスチールバックします。そして3枚目でマルティプルプッシュして取り、最後の1枚を取ります。通常のジョーダンカウントでは、どうしても4枚目で左手のカードの下から引き抜く感じが出てしまうからです。

4枚目に置いたカードを右手に取り、右手でひっくり返して反対面を見せ、「両面とも白いカードです」と言います。右手のカードを左手の3枚の下に入れてそろえ、「反対もお見せしましょう」と言いながら、右手で全体を左にひっくり返します。そしてエルムズレイカウントして、4枚のブランク面を見せます。

カードに対して魔法をかけます。それからエルムズレイカウントと同じ形で1枚、2枚、3枚と左手に取っていき、4枚目を左手に置くときに、あの技法を行います。なお、あの技法をスムーズにやるには、3枚目までのカードを通常のエルムズレイカウントよりも、手前にずらした位置にしておいた方がやりやすいです。

いま左手には4枚のKがあります。それらを両手の間に広げて、すべてに裏面が現れたことを見せます。それからドラマチックにそれらを表向きにしてテーブルに落とします。

ということで、マジックのクリエーションにおいては、あることを徹底的に追求したあとで、あることを捨て去る、ということもあるのです。

'あの技法'というのがわからない方は、わかるまで繰り返し動画を見てください。けしてあの動画はカメラトリックでも、編集したものでもありません。どうすれば3枚のカードを左手から無くせるかを考えれば、必然的に答はわかるはずです。