= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.237

2013年11月11日

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ラインアップ現象

雑誌"マジックマニュスクリプト" 1985年1/2月号に、奇妙な概念のミックス現象が出ています。ケン・シモンズによる'サンダーナンバーツー'という作品ですが、ここには、現象だけを書きます。

ダイヤのAから9までを順番に並べ、偶数の4枚を抜いて奇数の上にのせます。そしてカードを表向きにすると、もと通りAからKまで並んでいます。

順番が乱れていたものが整列するというこの現象は、'オイル&ウォーター'とも似ていて違いますし、'パリンドローム'(逆順になる)の現象とも似ていますが違います。とりあえずこの現象を'ラインアップ現象'(整列現象)と呼ぶことにして、類似の現象を論理的に分類すると、つぎのようになります。

オイル&ウォーター
2つの種類のカード(たとえば赤と黒)を交互に混ぜても、2種類のカードが分離する。

パリンドロームカード
AからXまで整列しているカードが、XからAというように逆順になる。

ラインアップ現象
順番が乱れたカードが順番に並ぶ。

ラインアップ現象のトリックはほとんどありません。"Card Magic Library"第10巻に収録した、'ニューデックオーダー'と'オーダーオブキングス'、そしてヘンリー・エバンスの'テンエクザクトカット'ぐらいしか思い出せません。

そこでラインアップ現象のトリックを作ることに挑戦いたしました。まず方針を立てました。上記の'サンダーナンバーツー'のように、現象が1回起こっただけでは面白くありませんので、少なくとも3回繰り返すことにします。そして各回の順番の乱し方を異なるものとします。そして最後のをもっとも不思議なやり方とします。

もっとも不思議であるということは、順番が乱れているのを見せたあと、何もしないのにカードが整列する、というのがよいのではないかと考えた瞬間、やり方が浮かびました。整列しているカードをいかにも乱れているように見せられれば、あとはカードを広げて見せるだけでいいのです。どのようにしたら整列しているカードを乱れているように見せられるでしょうか。考えれば絶対に思いつくという執念で、そのやり方を思いつきました。

つぎに導入部について考えました。最初ですからそれほど強力なものでなくてもかまいません。そこでリバースファローを繰り返すと、順番を乱したカードがもとになる、というやり方をすることにしました。裏向きのまま同じリバースファローを繰り返してやっても面白くないので、1回目と2回目は表向きで行い、3回目は裏向きでやるというアイデアを思いつきました。表向きで2回やると、けっこうよく混ざったように見えるのです。そして続けて裏向きでやると整列するので、いちおう不思議さが生まれます。

なかなか思いつかなかったのが、2回目のやり方です。1回目が数理的なやり方で、3回目は混ざっているように見せる技法的なやり方なので、2回目は仕掛によるやり方にしたらどうかと考えました。

そして以下のような作品となりました。


ラインアップセブン
= 加藤英夫、2013年10月16日 =

準 備

ストリッパーデックからスペードのAから7を抜き出して使います。向きをそろえてトップからA~7の順にセットします。

方 法

7枚を表向きに幅の広い方を手前に向けて持ちます。7枚を両手の間に広げて、Aから7まで整列していることを見せます。

「カードの順番を変えるのに色々な方法がありますが、最初はシステマチックなやり方でまぜます」と言って、リバースファローを行います。1枚目をダウンするやり方です。そしてアップした3枚を抜いて、抜いた方の上に他方を重ねてそろえます。「もういちどやります」と言って、同じやり方でリバースファローします。

両手の間に7枚を広げて、「するとこのようによく混ざります」と言います。

「こんどは裏向きで同じことをやります」と言って、横向きに返して裏向きにして、リバースファローします。こんどはアップした3枚を右手でくるっと180度まわして抜き取り、他方の上にのせてそろえます。

7枚を横向きに表向きに返し、そうするとカードは整列してしまいます」と言って、両手の間に広げて、Aから7まで整列したのを見せます。

7枚をそろえて横向きに返して裏返し、「こんどは違う混ぜ方でやります」と言って、
トップから3枚をテーブルにディールして、残りの4枚をその隣りにディールして、2つのパイルを作ります。

「あなたの指示通りにカードを取っていきます。どちらか指さしてください」と言って、相手にどちらかのパイルを指ささせ、指さされた方のトップカードを取って、左手に置きます。「つぎはどちらから取りましょうか」と言って、指さされた方のトップカードを取って左手のカードの上に置きます。以下同様にして、相手が指さした方から取っていき、7枚を左手に集めます。

「あなたの指示通りに集めましたが、1回このようにカットすると」と言って、右手をパケットの両下エンド、左手を両上エンドにかけて上下に抜いて、右手のカードをテーブルに置き、その上に左手のカードを重ねます。「カードは整列します」とセリフを続けます。7枚を取り上げて、横向きに返して表向きにして、両手の間に広げて整列したのを見せます。

「最後はいちばんよく混ざるやり方をします」と言って、チャーリエシャフルを2、3回やりますが、最終的に2がトップにいくようにします。

7枚を裏返します。「順番を確認しましょう」と言って、トップカードを右手に取りますが、そのときつぎの2枚をプッシュして、右手に取った2を横向きに返し、「2」と言います。2を裏返してプッシュした下の2枚とそろえ、それら3枚の下にブレークを作り、ブレーク上の3枚を右手で取ってボトムにまわします。

つぎの5をブッシュして右手に取りますが、つぎの6も少しプッシュして、5を表向きに返し、「5」と言います。5を裏返して下の6とそろえ、6の下にブレークを作ります。「5」と言います。そしてブレーク上の2枚を右手で取ってボトムにまわします。

つぎは7を表向きに返して見せ、「7」と言ってから裏返し、こんどは下に加えることはせずに、7だけをボトムにまわします。

つぎはAをプッシュして右手に取り、つぎの2をプッシュしておき、Aを表向きに返します。「A」と言います。Aを裏返して下の2とそろえてそれらをボトムにまわします。

つぎは3を表向きに返して見せ、「3」と言ってから裏返し、こんどは下に加えることはせずに、3だけをボトムにまわします。

つぎは4をプッシュして右手に取り、つぎの5をプッシュしておき、4を表向きに返します。「4」と言います。4を裏返して下の5とそろえてそれらをボトムにまわします。

つぎは6をプッシュして右手に取り、つぎの7をプッシュしておき、6を表向きに返します。「6」と言います。6を裏返して下の7とそろえてそれらをボトムにまわします。

以上で、2、5、7、A、3、4、6の順番で見せたことになります。同時にカードの順番はAから7まで整列しています。

右手をカードの上にかかげて静止させ、「このまま何もしないでしばらくすると」と言って、2秒ぐらい静止させます。それからカードを表向きに両手の間に広げ、整列したのを見せます。「やはり整列してしまいます」とセリフを続けます。