= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.246

2014年1月10日

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ジョーダンからバーノンへ

ジョーダン作品とそれをバーノンが改良したものを比較いたします。改良ポイントには重要なバーノンのタッチが見られます。

ダブルプリディクション
= チャールズ・ジョーダン、"チャールズ・ジョーダンズベストカードトリックス"、1992年 =

これはの上記のジョーダン作品集からの引用ですが、作品が発表されたのは、1919年~1922年ごろです。

方 法

21枚のカードを使います。その中から1枚のカードを使うと言って、1枚のカードを選ばせ、そのカードはカードを選ぶためのカードであり、選択カードと呼ぶことにすることを告げます。

選択カードをパケットの好きな位置にさし込ませます。表を相手の方に向け、1人目の客に選択カードの左のカードを記憶してもらい、2人目の客に選択カードの右のカードを記憶してもらいます。

そのあと、カードをリバースファローします。最初のカードをアップするやり方です。そしてアップしたカードを抜いて、他のカードの上にのせます。これを2回行います。

表を相手に向けてカードを広げ、相手に選択カードを抜いてもらいます。選択カードが抜かれたところからカードをカットします。これで2人のカードはトップとボトムから5枚目にきます。

ここで紙に"5枚目と5枚目"と予言を書きます。そして相手にカードをまん中ぐらいから分けさせ、上半分はテーブルに置かせ、下半分が何枚あるか数えさせます。これによって1人のカードがトップから5枚目に移ります。

予言を見せて、両方のパケットから5枚カウントし、5枚目のカードが2人のカードであるのを示します。

備 考

ジョーダンは、選択カードから分けるときに、右側のトップから左側のトップに1枚すべらせてスチールしてやれば、予言を"4枚目と6枚目"とすることができる、と述べています。


私はジョーダンの'ダブルプリディクション'を読んだとき、「あれっ、バーノンの'アップ&ダウン'とほとんど同じじゃないか」と思いました。ジョーダンの作品の方がはるか先に公表されているのですから、スカーニがジョーダンの原案について言及していないのに疑問を感じました。

しかしながら、このマジックがバーノンの作品として有名になり、ジョーダンの原案が忘れられても仕方がないかもしれません。それだけ2つのやり方には差があるのです。2つの作品を比較して、バーノンがどんな点を改良しているかを把握することによって、マジックを改良するヒントを学ぶことができるはずです。

アップ&ダウン
= ダイ・バーノン、雑誌"ジンクス"No.38、1937年9月 =

方 法

デックからジョーカーを抜き出してから、デックを1人目の客に渡し、よくシャフルさせたあと、20枚のカードをテーブルにディールさせます。ジョーカーの含まれていないデックで演ずる場合には、スペードのAで代用するとよいでしょう。

20枚のカードを1人目の客にシャフルさせますが、あなたは残りのカードを取り上げ、表を自分に向けて広げ、マークはどれでもいいですから、5のカードを抜いて1人目の客の前に置き、6のカードを抜いて2人目の客の前に置きます。

1人目の客にジョーカーを渡し、20枚のカードの好きなところへさし込ませます。そしてカードを広げて、ジョーカーの左隣りのカードをおぼえてもらいます。このときあなたは顔をわきに向けています。2人目の客にカードを渡してもらい、その客にジョーカーの右隣りのカードをおぼえてもらいます。

それからカードをテーブルの中央に置かせ、客に何回かカットさせます。それから20枚を取り上げ、1人目の客に向かって、「これからカードを上と下に分けていきますから、あなたのカードがどちらにいくか見ていてください」と言って、最初のカードをアップするリバースファローを行います。

「どちらにいきましたか」とたずねて、ダウンしたカードを抜いて、アップしたカードの上に重ねます。相手の答はトリックには関係ありません。2人目の客に向かい、同じようにリバースファローし、相手のカードがどちらにいくか見ていてくれと言います。ダウンしたカードをアップしたカードの上に重ねます。そのあと、2人目の客にカードを何回かカットさせます。

表を客に向けて広げ、ジョーカーを抜いてくれと言います。ジョーカーが抜かれたところからカードをカットします。それからカードを半分に分けると言って、トップから10枚を順番が変わらないように数えて取り、1人目の客の前に置きます。残りの10枚を2人目の客の前に置きます。

ここであらかじめ抜き出しておいたカードに注目を集め、「これらのカードが2人の選んだカードを予言していたのです」と言います。1人目の客の前のカードを表向きにします。5のカードです。1人目の客の前にあるカードを取り上げさせ、5枚のカードをディールさせます。その客のカードを名乗らせてから、最後にディールしたカードを表向きにさせます。その客のカードで出てきます。

2人目の客にも同様に行い、その客のカードを現します。


改良点がおわかりになったでしょうか。ジョーダンの原案に対して、つぎの点が改良されています。

まず、選択のためのカードとしてジョーカーを使っている点は、ささやかな改良ではありますが、相手にとってはやることがわかりやすくなります。

つぎに、カードをおぼえさせたあとと、リバースファローしたあとに、客にカードをカットさせている点です。原案の通りですと、マジシャンがなんとなく相手のカードの位置がわかっているような感じを与えます。

そしてもっとも重要な改良点は、リバースファローするときに、相手のカードがどちらにいくか見ていてくれ、という点です。これによってリバースファローすることの理由づけがされます。

そして原案には、残りのカードを客に数えさせる、という意味のない操作がありますが、バーノンはその部分をナチュラルな操作ですませています。ジョーダンとしては、相手に好きな枚数をカットさせる、ということが重要だと考えたのでしょう。

ジョージ・カプランの"ファインアートオブ"(1948年)の中に、このマジックのバリエーションが、'トウェンテイワンカード'というタイトルで出ています。そのやり方では、ジョーダンやバーノンのやり方と決定的な相違点があります。リバースファローを2回行ったあと、ジョーカーを相手に抜き出させるということをせずに、ジョーカーの裏面にマークをつけておくことにより、そのマークをたよりに、ジョーカーの左隣りの左でカットすることにより、2人のカードをトップから4枚目とボトムから7枚目に運びます。

そのあとはジョーダンのやり方のように、相手にだいたい中央でカットさせ、枚数を確認するために下半分をカウントすることにより、1人のカードをトップから7枚目に移動します。リバースファローするときは、バーノンのやり方のように、どちらに客のカードがいくかを見てくれと言ってやります。

カードを2つのパケットに分けることについての私の改良案を説明します。ジョーカーを抜いて、そこからカードをカットするところまでは、バーノンの方法のように行います。そのあとカードを相手に渡し、だいたいまん中へんからカットして、上半分をテーブルの2人目の客の前に置かせ、下半分を1人目の客の前に置かせます。ここまでを客にやらせることが重要です。

1人目の前のカードを右手でつかみ、左から右に広くスプレッドします。ここで予言を読ませたあと、スプレッドの客から見て左端(スプレッドのトップ)からその数だけ数えさせて、その客のカードを出現させます。2人目の客の前のカードを左手でつかみ、右から左にスプレッドし、予言を読ませたあと、スプレッド左端からその数を数えさせて、その客のカードを出現させます。