= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.247

2014年1月17日

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Card Magic Video Lesson 第24回

今回"CMVL"で取り上げるのは、以前ダウンロードするように紹介してあった、No.0077です。念のため、アドレスを再掲載しておきますので、今日現在、まだYouTube上に存在していますので、ダウンロートしていなかった方は、いまダウンロードしてください。

No.0077 http://www.youtube.com/watch?v=Q3YW2xFs02I

たいへん素晴らしいクリーンな現象の色違いアセンブリーですね、最後のあらため部分の手前までは。最後のあらため部分については、エンドクリーン志向の典型的な例だと思います。

とくにこの演技では、最初にすべてのAの裏は赤であることが明確に見せられています。そして最後に4枚の赤裏が集まったのが見せられ、それらを表向きにして広げると4枚のAです。私はこの時点で、このマジックは観客の心の中で完結していると思います。以下の説明との関連で、この時点を完結ポイントと呼ぶことにします。

ところが完結ポイントにおいてマジシャンは、最後のAの陰にエクストラカードが重なっていることに、罪の意識を感じるのかもしれません。そのあとすり替えをやってから、また4枚のAが赤裏であることを見せています。アル・ベーカーの「追われずして逃げるなかれ」の典型的な例だと思います。

仮りに観客の誰かが完結ポイントで疑念を持ったとしたら、そのような客は、そのあとのハンドリングを見て、すり替えられたことの方により明確な疑念を持つはずです。その行為が、あらたな疑念を発生させることになるのです。言ってみれば、エンドクリーンにしようとする行為が、よりエンドダーティにしてしまうことがあり得るのです。


と以上まで書いたところで、今回の話の主旨は伝わり、この号は完成したと思い、セーブいたしました。しかし何となく腑に落ちないものがありました。上記の完結ポイントでは、両手にAを2枚ずつ表向きに持って、2枚を前後に動かす、いわゆるジグルの動作をやることによって、4枚のAしかないような印象を出しています。

たしかに表面上はそこでこのトリックは完了しているように見えますが、そのジグルの動作をやっているとき、やはり観客には"余分なカードが重なっているのでは"という疑念が持たれている可能性があります。だからこそ、演技者はそのあとすり替えをやっているのです。

そこで'色違いエースアセンブリー'の大傑作、ダイ・バーノンの'フォーブルーバックエーセズ'(Card Magic Library第6巻、72ページ)を再読したところ、バーノンは1カ所に集まった4枚のAの裏表を見せる動作の中で、すり替えをやっています。最初に4枚のAの表を広げて見せ、それらをひっくり返して裏の色を見せるときに、すり替えているのです。

現象を見せるときに、何の怪しさもなくカードがすり替えられています。さすがにダイ・バーノンです。

結局のところ、今回の映像で見られるやり方は、構造的にバーノンの原案と違っていて、どうしてもジグルの動作をやって見せるとき、余分なカードが後ろに重なった状態になっています。バーノンのやり方では、4枚のAの表を見せ、それから4枚のAの裏を見せたときには、余分なカードは重なっていないのです。

このようにトリックの構造そのものが違う点が、バーノンの原案と今回の映像の演技のクオリティの違いになっていると思います。ぜひ、バーノンの原案を再読することをお奨めいたします。