= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.260

2014年4月25日

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ダブルカットはバックレイの考案?

前号で、アーサー・バックレイが'ダブルカット'を解説しているのを見つけたことを指摘いたしましたが、その方法がバーノンが考えたものではないという証明する証拠のひとつとして、"カードコントロール"の前書を忠実に翻訳して記録しておきます。

"カードコントロール"前書
= アーサー・バックレイ、1946年 =

私40年間のカードマジックの研究を通して、優れていてより実用的な原理を求め、そして極上の不思議を追求してきた者として、カードマジックについて本を書き残す資格があると信じます。当書の中に、考案者を明記しないで書いたものがあったとしたら、それは意図した間違いではないので、お許しいただきたいと思います。考案者を明記しないで書いたものは、考案者が明記されないでいままで発表されてきたものであります。

当書は高度な原理、技法、カードトリックを集めたもので、読者がこの分野でかなりの経験を持っていて、ヒューガード、アードネス、マーリン、ターベル、ダウンズなど多くの著者から学んでいることを前提としています。当書に収録された技法は、重要度の高いものであり、実用的な価値のあるものばかりであり、いままでに公表されたものよりも優れたものであります。ほとんどがマスターするのに難しいものであり、実用に供するまでには十分な練習の必要なものです。


それぞれの技法は、特有のテクニックが含まれていますが、文章と図解で詳しく説明されています。解説を忠実に理解して練習していただければマスターしていただけるものであり、マジシャンおよび一般の観客に対しても、技法の存在を見抜かれずに行えるでしょう。

よく"練習は完全さを作る"と言われますが、気をつけなければなりません。ただ練習すればよいというものではなく、正しいやり方を練習しなければ完全さはえられませんし、目的に沿った使い方をしなくては意味がありません。当書に書かれた技法が、どれも優れたやり方であるということを認識し、解説をよく理解して練習してください。さもなければ、間違ったやり方を身につけてしまうことになり、それを正すにはさらなる時間をかけなくてはならない、という無駄な時間を使うことになってしまいます。

当書をまとめるにあたって、つぎの方々が協力とアドバイスを与えてくれました。ジョン・ブラウン、ハロルド・リプレイ、ワルド・ローガン、ウィリアム・ニコラ、リチャード・カーディニ、バート・アラートン、ラッセル・スワン、カーメン・ダミコ。ハーラン・ターベル、ポール・ル・ポール、ジョージ・クーン、ダイ・バーノン、サムエル・バーランド、ジョー・バーグ、ポール・ステデルマン、ウェルナー・ドーンフィールド、アレックス・ビュレル、そしてジョン・マルホランド。これらの方々に、深く感謝いたします。

アーサー・バックレイ


バックレイはこのように前書で書いていて、そして問題の'ダブルカット'の解説において、その表題を'バックレイのダブルカットでカードをトップに運ぶ方法'と書いています。協力者の中にダイ・バーノンもいて、なおかつこのように表題に明記しているのですから、少なくともそこに書かれているのはバックレイが考えた方法に違いありません。そしてその方法は、バーノンが紹介しているものと同じでもあり、まさしく今日'ダブルカット'と呼ばれているものなのです。

ちなみにバックレイは'マルティプルシフト'も解説していて、その標題は'バーノンマルティプルシフト'としています。このことからも、バーノンの考えたやり方を自分の考えたものとして書いているはずはないと、私は思います。