= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.267

2014年6月13日

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ミラクルデックの謎

あるとき、マジックカフェにアレックス・ホイによってつぎのような投稿がなされました。

ジェイムス・スウェインの"21st Century Card Magic"の53ページに、彼が考案したという'ミラクルデック'というのが解説されています。でもそれはサイ・ステピンスデックに他なりません。なぜ彼が、サイ・ステビンスで当たり前の使い方を彼のアイデアとして、いかにも素晴らしいやり方を見つけたとして興奮して書いているのか理解できません。私は何か勘違いしているのでしょうか。

私は早速同書を確認してみました。するとアレックス・ホイと同じぐらい私も驚きました。何でサイ・ステビンススタックの古くからあるやり方をいまさら書いているのかと。たとえハンドリングがいままでのやり方と違っているとしても、サイ・ステビンススタックされたデックを使うトリックを、'ミラクルデック'などという別の固有名詞をつけてしまうとは、暴挙以外の何ものでもありません。

スウェインの書いているやり方はつぎの通りです。翻訳ではありませんが、やり方は彼の書いた通りです。

サイ・ステビンススタックを使います。デックを何回かカットしたあと、デックを両手の間に広げて客に1枚抜かせ、見ておぼえさせます。カードをそろえるとき、抜かれたところにブレークを作ります。

客がカードを見ているとき、両手を手前に戻しながらリフルパスを行いますが、カードの手前エンドを通常のリフルパスのときよりも大きく曲げます。そうすると、トップカードをグリンプスすることができます。それによって、客が抜いたカードがわかります。

デックを客の前に置いて、彼のカードをトップに置かせ、デックを1回カットさせます。

以上の操作を何人かの客について行います。そしてそれぞれの客のカードを当てます。


このやり方が素晴らしいかどうかは別問題として、彼がこの解説のまえに書いた前書はつぎの通りです。忠実に翻訳いたしました。

数年にわたってメモライズドスタックや、心理的誘導手法などを使って選ばれたカードを当てる方法を実験したあと、私は'ミラクルデック'を思いつきました。もしもこれを私が売り出したとしたら、カードマジックに新しい可能性を開くことになるでしょう。想像してみてください。ノーマルなデックから数人の客にカードを選ばせて、それぞれの客は選んだカードをデックの中に入れてしまいます。マジシャンは質問することなく、即座にそれぞれの客の選んだカードを言い当てることができるのです。

スウェインはこのやり方を解説したあと、'ミラクルデック'を使えばこのようなこともできると述べて、サイ・ステビンススタックされたデックの使い方をいくつか書いています。それらもとくにオリジナリティが感じられるものではありませんでした。

スウェインはかなり有名なミステリー作家でありますが、これも彼が創作したミステリーなのでしょうか。1999年に発行された本に、なぜこのようなことが書かれたのか、私には謎を解くことができませんでした。