= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.268

2014年6月23日

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クラシックフォースは気持ちが大切

マジックカフェで、クラシックフォースが失敗したら、どのように対処したらよいか、ということが質問されたとき、私の回答は心の中で決まっていました。しかし少し様子を見ることにしました。

取られたカードで'ポケットに飛行するカード'をやればいいのでは、というように具体的にトリック名をあげる人もけっこういました。フォースカードの隣りに返させてキーカードロケーションをやったら、という投稿もありました。チャールス・ホスキンスの "Outs, Precautions, and Challenges" を買って読んだら、というのもありました。

このような投稿を見せられると、むずむずしてきて投稿したくなってしまいます。私は投稿しました。

相手が抜いたカードを使って演じるトリックは数多くあります。その中であなたがいちばん得意で効果的なトリックをやればいいと思います。しかしそれよりもまず、クラシックフォースの成功率を上げることに気持ちを向けた方がよいと思います。

このようなことを言うと、こんどはこの本を読んだら、あの本を読んだら、と本の名前が上がり始めます。そこでハリー・ローレインの登場です。ローレインフォースをチェックしてみてください、と。

誰かがポール・グリーンのDVDが素晴らしいと指摘すると、グリーン氏当人が加わってきました。そして心に触れるような金言を発しました。

クラシックフォースのみならず、どのような技法をうまくやるには、気持ちの持ち方がすべてです。失敗するかもしれないと思いながらやれば、失敗する確率が高まります。まず正しいやり方を体得し、それから実戦で経験を積み、成功を積み重ねていけば、あなたの自信も高まっていくでしょう。

ポール・グリーンが自信を持ってやることの重要性を指摘してくれましたので、ここで自信を持つためのステップを確認しておきましょう。自信というものは、ただ思い込むだけでは持てないものですから。

まずグリーンが指摘しているように、正しいやり方を体得するということです。でもそのまえに、正しいやり方がどこに説明されているか見つける必要があります。私はここでハリー・ローレインのように宣伝をするつもりはありません。インターネットの時代ですから、まずはネットで検索して、多くの人が奨めている教材を確認するのがよいでしょう。

正しいやり方の説明されている教材で勉強ときに注意することは、"このようにやりなさい"と言われたことを、やみくもに真似するのではなく、どうしてそのようにやるべきなのかを理解しながらやることが重要です。そのようなことがあまり指摘されていない教材は、望ましい教材ではないと思います。幼児に物事を身につけさせるときにさえ、どういう理由でそうしなければいけないか、ということを説明して教えるのが大切です。

DVD教材よりも、本の教材の方がそのようなことがよく書かれているという傾向にあります。本で学んでDVDで外観を学ぶ、というやり方もありますが、インターネットの時代では幸いなことに、外観を学ぶ例はいくらでもあります。それも良い例と悪い例の両方がありますから、あなた自身が動画を見て、それが正しいやり方であるか悪いやり方であるか、考えるということも学びのひとつの過程なのです。そうです。学ぶということは、教えられた通りのことをやることだけではなく、自分も考えることが重要なのです。

学んで練習したあとは、いよいよ実戦です。実戦で経験を積み重ねてこそ自信がつくということは、ポール・グリーンが指摘するよりもまえから、何事についても多くの識者が指摘してしていることです。というよりも、誰でもわかることです。

さて、自信を持ってカードを相手に向けて広げ始めたとしましょう。ここであなたの頭脳が集中しなければならないことは、表面上はどのカードが取られてもよいという雰囲気を出しながら、相手が取ろうとするのにタイミングを合わせるということです。

宣伝するつもりはありませんが、私はそのようなことを"Card Magic Magazine"第16号の'クラシックフォース特集'にしっかり書きました。いま再読しても、いままでの指導者が指摘してきた重要なことを、ほとんどすべて吸収してまとめてあると感心してしまいました。

さて、クラシックフォースの成功率を上げるのにもっとも重要なことは何でしょうか。いみじくもポール・グリーンが、気持ちの持ち方について指摘してくれたことから、それに気づきました。グリーンはマジシャンの気持ちの持ち方を述べたのですが、クラシックフォースの成功と失敗を分ける最大の要因は、カードを取る客の気持ちにあるということです。"Card Magic Magazine"第16号につぎのように書かれています。

ロベール・ウーダンは、" シークレットオブカンジャリングアンドマジック"(1868 年) の中で、" カードをフォースするときは、「1 枚カードを選んでください」ではなく、「1 枚カードを抜いてください」と言うべきです" と述べています。

「1枚カードを選んでください」と言ったのでは、客の気持ちの中で「どのカードを取ろうかな」と思わせやすいからです。そのようなことはカードを取らせるときのセリフだけではありません。それまでに演じてきたマジックにおいて、相手に反抗心を抱かせたり、種を見破ってやろうという気持ちを持たせることも、素直にカードを取ろうとしない、ということにつながることがあります。

客にそのような気持ちを起こさせないこと。それこそがクラシックフォースの'肝'であるのです。