= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.274

2014年7月25日

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上口龍生師からのメール

上口龍生師からメールをいただきました。私を過分に褒めていただいていますので、紹介するのは自慢話になってしまうかもしれませんが、私のやってきたことをうまくトレースしていただいていますので、紹介させていただくことにいたしました。

加藤 様

無事にDVDが届きました。少し落ち着いたのものですから、ざっと眺めてみました。その膨大さに呆然としております。

カードマジックだけでもこれだけ創作活動を行って、これだけ自力で文章化した人は世界的にも稀なのではないでしょうか?スチュアートジェイムスに匹敵、あるいはそれ以上かと思います。日本だけではなく、世界的な偉業だと感じました。これからひとつずつ少しずつでも、解説されているマジックを実際にデックを持って行っていきたいです。

少し気になったのは、なにかまるで死期を悟った野武士のような雰囲気です。加藤さん大丈夫でしょうか?遺言の文章も読みました。まるであと数年の命を悟ったかのような言葉にショックを隠せません。

加藤さんがカードだけの人でない事は十分承知しております。ロープや包帯シンブル、そして何よりもマジック論と云う事に関しても、日本のトップの方であると今でも私は思っております。

最近、"OUR MAGIC"の原著を見ました。加藤さんの翻訳は半分も満たないのですね。続きが読みたいです。このような本を翻訳できるのは日本では加藤さんただ一人です。

あと、自分は1926年版のオリジナルターベルコースを個人的に翻訳しています。これを翻訳する事で、加藤さんのテンヨー版がいかに凄かったかを再確認しています。英語に長け、日本語を知り、マジックの知識が豊富な加藤さんにしか出来なかったことです。これからもぜひマジック界に貢献なさってください。

私達パフォーマーの立場からすれば、加藤さんのように100年先までも生き残る文章を書いた方が羨ましいです。しかもそれを数年後には無償でコピーして下さい、という考え方はとても崇高なことだと思います。

これからも色々と加藤さんを通じて勉強させてください。どうも有り難うございました。

龍生


このメールを紹介させていただくために龍生師にお願いのメールをさせていただいたところ、さらにつぎのようなメールをいただきました。


加藤 様

元気そうなお返事をいただきほっとしました。私の文章で良ければいつでも掲載して下さい。

これからもマジック界に貢献していただけることを心から願っています。可能であれば、加藤さんの自伝が読みたいです。マジックとの出会い、関わり、テンヨーの発展、アカデミーの創立と挫折、テンヨーへの復帰、マリックさんとのこと。島田先生とのこと。

そして何よりもバーノンや天海、ジェニングス、スキナー、チャーリーミラー…などなど。加藤さんを通じて私達が体験できなかったマジックの歴史を教えていただきたいです。

ワインやボーリングなどの他の業界に詳しい加藤さんのそれらとの比較したマジック界なども面白いでしょう。ディズニーランドとの関わりだって加藤さんにしか書けません。

あと、そういった事だけではなく、どうやったら加藤さんのような創作力が身に付くのか、これも私達に残しておいて欲しいです。

そういう意味でも"CARD MAGIC LIBRARY"全巻は貴重です。加藤さんの創作、改案、そうした過程が本を通じて理解できます。

以前、もう20年前になりますが、加藤さんに行っていただいたレクチャーは今でも素晴らしかったと思っています。なぜならば、創作するにあたって、作品がどのように変化して、どうやって完成されていくか、という過程がレクチャーされたからです。

天海さんの肉声とその会話は日本のマジック界にとっての財産の一部でしょう。おそらく、歴史だけ、知識だけ詳しくなっても駄目だと思います。

それに加えて創作力を身に付ける、その為にも加藤さんの生き様こそが、今後の若い世代に役に立つのではないでしょうか。事実上の引退宣言は撤回していただき、今後もご活躍のほど心から願っております。

若輩ながら生意気なことを言ってすみません。これからもまだまだ勉強させてください。有り難うございました。

龍生

重要な課題

上口龍生師のメールには、私の今後の仕事に関する、重要な課題の指摘がありました。マジックの創作法という課題です。いままでも創作法に関しては、色々なところに書いてきましたが、まとまった形にはなっていません。できるかどうかわかりませんが、考えてみる価値は十分にありそうです。上口さん、ヒントを示していただいて、有り難うございました。

その他のこと

上口さんに指摘された他の点について、少し回答しておきます。

書いたページ数では、まだエドワード・マルローやスチュワート・ジェイムスにはほど遠いです。と同時に、問題は書いた量ではなく、書いた内容の質の方だと思っています。その点では、欧米には優れた書籍がたくさん存在し、とても私が太刀打ちできるものではありません。これからはその点、すなわち質を磨き上げていくことが、年齢を重ねた人間のやるべきことだと考えています。

"死期を悟ったような"という点については、71歳にもなれば、死ぬことを考慮して、残りの人生を設計するというのは、当然あるべき姿だと思います。それは恐らく皆さんが70歳に到達したときに理解されることでしょう。

因みに私は近いうちに、本当に引退宣言をするつもりです。少なくとも、マジックを仕事としてやることからは、いますぐにでも開放されたいと思っています。余生はプロではなく、アマチュアとしてマジックと付き合いたいものです。

"OUR MAGIC"については、第2部の翻訳にトライしましたが、あまりの難解さに、頓挫しました。

上口さんが"加藤さんがカードだけの人でない事は十分承知しております"と書かれているので、それで思い出しました。リチャード・カウフマンの"テンヨーブック"(仮称)には、カード以外の私の作品がかなり解説されています。

この本はあまりにも内容が豊かになりすぎて、2巻になるとのことです。先月もまたカウフマン氏から質問メールがきました。彼の本を書く執念にはまったく敬服させられました。いったいいつになったら、本が完成するのでしょう。

自分の作品をいくら書くよりも、カウフマン氏のように、マジックの歴史に関して重要なことを書き続けている著者の方が、はるかに賞賛に値すると思います。ぜひ皆さんも、"テンヨーブック"を読んでください。ただのテンヨー製品バリエーション集ではありません。テンヨーがどのようにいまのような開発力を持ったか、その秘密を知ることができると思います。