= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.276

2014年8月8日

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'トゥウェンティセブントリック'再考

久しぶりに雑誌"スフィンクス"を読みました。いままでに1913年3月号まで読んで、記録すべき情報はパソコンファイルの中に記録してきました。久しぶりに1913年4月号から読み続けることにしたら、いきなりその号に面白いものが書かれていました。

ハーバート・リッチモンドが'トゥウェンティセブンカードトリック'という標題で、'27カードトリック'で、相手の思ったカードを相手の指定した枚数目に位置させる方法を書いています。

リッチモンド曰く、"フェニックス"の以前の号に、フォーミュラを使用する'27カードトリック'が解説されていたが、フォーミュラを記憶することがたいへんなので、計算で算出するやり方を考えた"というのです。

その方法を読んで驚きました。マーチン・ガードナーが"MATHEMATICS MAGIC AND MYSTERY"(1956年)に書いている、1952年にトマス・ウォーカーが考案した方法、およびそれをもとに改良したマーチン・カードナーの方法よりも、はるかに計算が簡単なのです。ウォーカーやガードナーの方法はけっこうややこしいのでここには書きません。リッチモンドのやり方は説明も簡単です。

方 法

27枚のカードを相手に渡し、よくシャフルさせたあと、27枚のカードを見渡して、好きなカードを心の中で思わせます。そのあとまたシャフルさせます。

ここで相手に1~27のうち、好きな数を指定させます。そしてその枚数目に思っているカードを運んでみせると宣言します。以下の操作はずっとカードを表向きの状態で行います。

27枚を表向きに持ち、表向きのまま3つの山にディールします。思っているカードがどのJに入るか見ていてもらいます。

そしてどの山にあるかをたずねます。心の中で相手の指定した数を3で割、その余りを求めます。

余りが1の場合は、相手が思ったカードがある山がいちばん上になるように3つの山を集めます。

余りが2の場合は、相手が思ったカードがある山が中央になるように3つの山を集めます。

余りが0の場合は、相手が思ったカードがある山がいちばん下になるように3つの山を集めます。

2回目のディールを行います。3つの山にディールして、思っているカードがどの山に入ったかをたずねます。

こんどは心の中で、相手の指定した数の2つの桁の数を足し算します。15だったら6になりますし、20だったら2になります。もちろん1桁の数なら足し算する必要はありません。

その答が1~3であったら、思っているカードのある山が下にいくように3つの山を集めます。

その答が4~6であったら、思っているカードのある山が中央にいくように3つの山を集めます。

その答が7~9であったら、思っているカードのある山が上にいくように3つの山を集めます。

そして3回目のディールを行います。3回目の重ね方は簡単です。指定された数が1~9なら、思っているカードのあるパイルがいちばん上に、10~18なら中央、19~27なら下になるように重ねればよいのです。

あとは指定された数を復唱し、思っているカードを名乗らせてから、相手にカードをディールさせます。指定された枚数目に思っているカードが現れます。


じつを言うと、説明がわかりやすいように、原著のやり方と変えた部分があります。それは原著では、裏向きにディールしたあと、ひとつひつとのパイルのカードの表を見せて、どのパイルにあるかを言わせてから、裏向きで前述の法則で集め、そのあとも裏向きにディールしてやっています。

私としては上記のようにすべて表向きで進めて、3回目のディールのあと3組を集めてから、裏返してから裏向きで指定枚数をディールさせ、そこで思っているカードを名乗らせて、その枚数目のカードを表向きにする、という運びとするように変えようと思っています。それには、相手の指定した数を28から引き算し、その答をもとにして上記のように進めればよいのです。

さて、いくらこのやり方が素晴らしいと私が強調しても、所詮'27トリック'はやりたくないと思うのが、今日のマジシャンの正常な感覚というものです。しかしながら、古いトリックもちょっとしたアイデアを組み合わせれば、いっぱしのキラートリックに仕立てることができることがあります。

このトリックに対しては、数をたずねるのではなく、紙片に書かせるのです。あなたは書かれた面は見ませんが、書かれた面を観客に向けて、「この数は自由に選ばれました」というときに、透けて見える数をグリンプスするのです。

あくまでもあなたは指定された数を知らないということで進めるのです。3回目のディールのあとにカードを集めてから、カードを裏向きに相手に渡し、ここで紙片を取り上げて、あなたも書いてある数を見て、観客にも復唱し、その枚数を相手にディールさせます。そして思っているカードを名乗らせてから、その枚数目のカードを表向きにさせます。


そういえば(株)テンヨーの本の準備で、リチャード・カウフマンのインタビューを受けたときに、'ACAAN'を演じるときにも、カードと数を紙片に書いてもらってやると面白い、ということを話したら、彼はそんなことを考えたことも読んだこともないらしく、思わず「そりゃいい考えだ」とうなっていました。

さて最後に、今回紹介した1913年の方法が、1950年代の方法より優れていることを確認したい方は、上記のガードナーの日本語版"数学マジック"をご覧になってください。説明を読んで途中で投げ出したくなるほどのものです。"古きを訪ねて新しきを知る"、私はまたしても頭をぶん殴られた気持ちです。