= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.287

2014年10月24日

応援団サイト



マジックを磨く

"カードマジックに磨きをかけることが、これからの私の仕事です"というようなことを、いままで何回かお話ししたことがあります。カードマジックの磨き上げ方にも色々な観点があると思いますが、今回は、不思議な現象の結末をどのように表現するか、という観点で改良した例を紹介いたします。

まずは題材として、'トップシークレット'として記録した作品を説明いたします。この作品は、原理は面白いのですが、結末の表現の弱さによって、いままで公表を控えてきたものです。

トップシークレット
= 加藤英夫、2002年10月28日 =

相手にシャフルさせたデックを表向きに広げ、「よく混ざっています」と言いながら、フェースから15枚目のカードのコーナーをクリンプします。

デックを裏向きにして左手に持ち、「適当でいいですから、まん中へんからカットして持ち上げてください」と言って、カットさせますが、クリンプより上でカットされる必要があります。

「私が後向きになったらやってもらうことを説明します。まずこのようにカードをよく切り混ぜてください」と言って、クリンプより下のカードを右手で取り、オーバーハンドシャフルしますが、1枚目をジョグしてシャフルし、ジョグカードの下でカットすれば、クリンプの上の枚数はまえのままに保たれます。

「つぎにこのようにカードを広げて1枚好きなカードを抜いてください」と言って、カードを両手の間に広げますが、そのときトップからクリンプカードのまえまでの枚数を密かにカウントします。それがX枚だとします。その枚数を37から引いたものが、相手が持っているカードの枚数です。そしてクリンプカードより手前の適当な1枚を抜き出します。

「そうしたら、そのカードをこのように見ておぼえ、いちばん上にのせてください」と言って、そのカードをのぞく格好ををしてから、パケットの上に置きます。「とりあえずそこまでやってください」と言って、手に持っているパケットはテーブルのわきの方に置いて後向きになります。

いちおう説明はしましたが、後ろ向きになってからも、相手にやらせることを順番に指示した方がよいでしょう。指示したことが終わったら、そのパケットをテーブルに置かせます。

わきに置いてあるパケットを取り上げさせ、よくシャフルしてからテーブルのパケットの上に重ねさせます。ここまでのプロセスで、たとえ相手がマジシャンであろうとも、相手のカードを当てるのは不可能に見えるはずです。

前に向き直り、デックを取り上げます。クリンプより上のカードをカットしてテーブルに置き、つぎにクリンプカード1枚だけを取り、いかにも数枚を置いたごとくテーブルのカードの上に「パチン」と置きます。ブラッフパスの要領です。そして間をおかずに残りのカードを「パチン」と上に重ねます。

デックを取り上げ、クリンプカードがボトムにいくようにカットします。これで相手のカードはボトムから(37-X)枚目にコントロールされます。

「この状態であなたのカードを見つけるのは、じつは不可能です。でもマジシャンは不可能を可能にします。ところがこの方法はマジックの世界でトップシークレットと呼ばれる秘法です。ですから今日は背後であなたのカードを見つけます」と説明して、デックを背後に運んでひっくり返し、素早く(37-X)枚をカウントして、左手にデック裏向きに、右手に選ばれたカードを裏向きに持って前に出します。相手のカードを名乗らせてから、右手のカードを表向きにします。

原案は以上ですが、「ところがこの方法はマジックの世界でトップシークレットと呼ばれる秘法です。ですから皆さんの見えるところでやるわけにはいきません」というセリフの胡散臭さ、そして背後で数えるのに時間がかかるのが問題点です。それをどのように改良したかは、来週のお楽しみということで。