= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.288

2014年10月31日

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忘れることの効用

先週号で解説した'トップシークレット'に関して、改良版を今週号で解説すると書きました。ところがそのとき思いついていた改良版を記録しておかなかったため、いざ書こうとしたら思い出せないのです。

「来週のお楽しみということで」などと書いてしまったのに、どうしようかと悩みました。火事場の馬鹿力というのはこのことで、しばらく考えた末に思いつきました。と言っても、先週思いついたアイデアではなく、別のアイデアをです。

そして別のアイデアについて色々考えていたとき、はたと先週思いついたアイデアを思い出したのです。

ということで、まずは思い出した方のバリエーションを書きます。

マジシャンズカット
= 加藤英夫、2014年10月23日 =

方 法

先週解説した原案で、クリンプカードをボトムにカットした時点で、"選ばれたカードはボトムから(37-X)枚目にコントロールされます"と書かれていますが、ボトムから(38-X)枚目の間違いでした。

このバリエーションでは、前に向き直ってデックを取り上げて、クリンプカードをすぐボトムにカットすることはしません。

デックを適当に2、3回カットしてから、「このように何回かカットすると、あなたのカードがどこにいったかわからなくなります。でも私はマジシャンですから、いま上から39枚目にあるのがわかります」と、適当な枚数目を言います。

「さらにこのようにカットすると」と言いながら、2、3回カットしてクリンプカードをボトムに運びます。現在、ボトムから(38-X)枚目に相手のカードがあります。それがトップから何枚目であるかを算出します。53-(38-X)=Zであるとします。これは途中の計算を省いて、15+X=Zと計算してもかまいません。

「あなたのカードは上から10枚目に移りました」とセリフを続け、声を出して右手に数え取っていき、10枚目のカードを裏向きのまま示して、「ですからこのカードがあなたのカードです」と言います。表は見せず、すぐ右手のカードを戻してそろえ、トップから10枚目の下にブレークを作ります。

「もういちどカットします」と言って、ブレークを利用してダブルカットを行います。相手のカードはトップから(Z-10)枚目にきます。「これであなたのカードは上から○○枚目にきました」と、(Z-10)枚目を告げます。

「どうも信じていないようですね。それではあなたに確かめていただきましょう」と言って、デックを相手に渡し、「○○枚を数えて置いてください」と言って、(Z-10)枚をディールさせます。そして相手のカードを名乗らせてから、最後に置いたカードを表向きにさせます。もしくはあなたが取って表向きにします。

スプリットアゲイン
= 加藤英夫、2014年10月30日 =

あとから思いついたバージョンです。私は'ラストスプリット'のように、'○○スプリット'という作品をかなり発表してきましたが、今回思いついたのも、リビレーション手法としてはその系統のものです。しかしながら、選ばれたカードを認知する手法が違っていて、今回のバージョンにも十分存在価値があると思います。

方 法

'トップシークレット'の方法で、あなたがデックをカットしてボトムに運ぶ部分がありますが、ボトムに運ぶ代わりに、デック中央より少し下に位置するようにカットします。だいたいボトムから3分の1ぐらいが適切です。

デックをテーブルに置き、「だいたい半分に分けてください」と言って、相手にデックを二分させます。それから分かれたパケットをさらに二分させて、4つのパケットを作らせます。

このようにすると、クリンプカードは下から2番目のパケットに入ります。4つのパケットのうち、いちばん下だったパケットを取って左手に置き、右手を上にかざしてから、「この中にはありません」と言って、そのパケットを両手の間に広げて、表を相手に見せてから、そろえてわきに捨てます。

下から2番目のパケットを取り上げます。その中にはクリンプカードがあります。クリンプカードのつぎから何枚目に選ばれたカードがあるか、あなたはすでに算出して知っています。それがZであるとします。手をかざして「この中にはありません」と言って、カードを両手の間に広げますが、クリンプのつぎから上のカードの枚数を密かに数えます。それがYだとします。広げたカードの表をちらっと見せてから、そろえてわきに捨てます。

下から3番目のパケットを取り上げ、手をかざして「この中にありそうです」と言って、両手の間に広げて下(左)から上(右)に向かって枚数を数え、(Z-Y)枚目のカードが相手のカードです。

いま持っているカードを左手だけで持ち、右手で4番目のバケットを「こちらにはありません」と言ってわきにどけます。

もういちど3番目のパケットを広げてまん中あたりで左右の手に分けます。どこに相手のカードがあるかわかっていますから、ない方の半分を捨てます。さらに半分に分けて、相手のカードのない方を捨てていきます。そのようにして1枚のカードを残します。

相手のカードを名乗らせてから、最後のカードを表向きにします。

備 考

相手が最初にカットしたカードが少なすぎたり多すぎたりした場合は、相手のカードが下から2番目のパケットや4番目のパケットにあることになりますので、それは各パケットを広げたときに枚数でわかりますので、それなりに対処してください。