= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.290

2014年11月14日

応援団サイト



さわやかなカードトリック

高木重朗氏の"トランプの不思議"は、私にとって青春の想い出に残る一冊です。この本の中に書かれていた、ダイ・バーノンの'フォーオブアカインド'は、いまから考えればそれほど巧妙なマジックだとは思えないかもしれませんが、当時の私には、非常に素晴らしいマジックに思えました。もしかすると、知識が増えすぎると、このような単純なマジックがよいものだと感じる感性が、いつの間にか鈍感になるということがあるのかもしれません。

これから紹介するマジックは、'フォーオブアカインド'を読んだときと同じような、単純であるが効果的なマジックとしての、さわやかな感動さえ感じさせてくれました。

ガールハッピー
= ロン・フェリス、"エクスパートカードシカナリー"、1976年 =

方 法

表を自分に向けてカードを広げ、赤いカードと黒いカードを分けますが、黒いカードをフェース側に集めるとしたら、中央に2枚の赤いQ、トップに2枚の黒いQがいくようにします。結果的にトップから、黒いQ2枚、赤いカード24枚、赤いQ2枚、黒いカード24となります。

「赤いカードと黒いカードを分けました」と言って、表を上にしてカードを広げます。バックの2枚の黒いQを見せないように。いかにも中央で分けると見せて、赤のQがいちばん下になるように分けます。「赤と黒、あなたはどちらがいいですか」と言って、相手の言った方のパケットを渡し、お互いに裏向きに持ちます。あなたはトップから5枚目の下にブレークを作ります。

相手に好きなところから2枚のカードを抜き出させ、それをあなたのパケットのトップに置きます。そしてブレークからダブルアンダーカットを行います。「私も適当に2枚抜き出します」と言って、ボトムから6枚目と7枚目を抜いて、相手のパケットのトップに置きます。相手に1回カットさせます。あなたもカットします。

お互いにカードを表向きにスプレッドします。黒いカードの中に2枚の赤いQ、赤いカードの中に2枚の黒いQが現れます。

備 考

ロン・フェリスは、このマジックのタイトルは、2人とも女性のことを考えていたから、Qが出てきたのだというセリフをいうことに由来すると述べています。

単純で優れたマジックはたいていの場合、いじると改悪になるケースがありますが、私はどうしても変えたい部分があります。2枚を受け取って、その2枚をいっしょにデックの中に入れ、それから隣り同士の2枚を抜き出して相手に渡すというハンドリングは、同じ2枚を返していることに気づかれやすいと思うのです。

赤と黒に分けて、色違いのQがトップに2枚ある状態まで、原案と同様に行い、相手にどちらかを渡します。

「このようにカードを広げて」と言いながら両手の間に広げ始め、トップから10枚目ぐらいのカードと、さらにスプレッドを続けて、ボトムから7枚目のカードをアップジョグします。カードを閉じますが、ボトムから6枚目のカードの上にブレークを作ります。「このように適当な2枚を抜き出してください」とセリフを続けます。「そしてその2枚を私にください」と言って、アップジョグした2枚を抜き、相手の方にさし出すかっこうをします。その2枚をすぐトップに置きます。

相手の抜き出した2枚を受け取り、トップに置きます。右手をパケットの上からかけ、右親指でパケットの中央あたりで分けつつ、スリップカットを行います。右手のカードを左手のカードの上に重ねますが、右親指でブレークを作ります。続けて左小指のブレークからカットして、左手のカードを右手のカードの上に重ねます。右親指のブレークを左小指で継承します。

「私も2枚選びます」と言ってカードを広げ始め、トップから7枚目と、ブレークの下のカードをアップジョグします。それらは相手がくれたカードです。それらを抜いて相手のパケットのトップに置き、相手に1回カットさせます。

両方のパケットを表向きにスプレッドして、結果を見せます。