= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.295

2014年12月19日

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'天海リヴォルブ'のさらなる考察

'天海リヴォルブ'について先週書いたあと、高木氏のやり方に関連した、重要なバージョンを見つけました。それはハンドリング的にも、演技の脈絡的にも、高木氏の方法、その私のバリエーション、それらどちらよりも優れているのです。世界にはたくさんの優秀なクリエーターがいて、お互いに影響を与えながらマジックに磨きをかけていく姿、それを感じてまた、感動してしまいました。

その素晴らしいやり方とは、"Card Dupery"(2007年)中に解説されている、ジェリー・ハートマンの'リオリエンテッドエクスプレス'という作品に使われているやり方です。それを説明しようと思ったのですが、図解つきで詳しく解説しないと良さがわからないので、"Cardician's Journal Special"のつぎの号の中にでも解説することにいたしましょう。

もうひとつ書いておかなければならないことがありました。それは、左手でパドルムーブのようにパケットを360度回転させるやり方が、ハートマンは'カーライルズカードパドルムーブ'と呼んでいることです。"カードカレッジ第5巻"を調べたら、ジョッビは"この技法は通常'カーライルターンオーバー'と呼ばれている"と書いていました。

というわけで、結果的に高木氏の考えついたことは、ガードナーのやり方にカーライルのやり方をくっつけただけ、ということになります。しかし、しかしです。それをくっつけたことが素晴らしいことなのです。さらにそのやり方を磨き上げたハートマンも素晴らしいということです。そのようにしてカードマジックは素晴らしいものになってきたのですね。

とここまでで'天海リヴォルブ'の考察は終わりかと思ったら、まだ書くことが見つかりました。さらに調べていると、カーライルターンオーバーにさえ、原点があったことを見つけたのです。カーライルがそれを読んでいたかどうかはわかりません。あくまでもやり方として関連があるということです。それはホフマンの"モダンマジック"に'To Turn Over The Pack''というタイトルで書かれている技法です。

この技法は観客の前でパケットをひっくり返すという脈絡で行うのではなく、あくまでも密かにパケットもしくはデックをひっくり返すという目的で使われるものです。やり方はカーライルターンオーバーの前半を行うことです。すなわち、左親指をパケットの下に入れて、それでパケットを右に起こしてひっくり返すのです。

理論的には、カーライルターンオーバーは、ホフマンの解説したハンドリングに左手首を返してもういちどパケットをひっくり返すのを続けるということです。

というわけで、長い年月の中で多くのマジシャンの英知が集まって、今日のカードマジックがあるということを再認識させられた1週間でした。