= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.298

2015年1月9日

応援団サイト



"現象がすべてである"の深い意味とは?

マジックにおいて、"Effect is everything"(現象がすべてだ)と言われることがよくあります。しかしこの表現は、現象というものを勘違いしてとらえる危険性を含んでいます。たとえばJCSで仕事をしていたときに、つぎのような質問を受けたことがあります。

'スラップトリック'では、相手の指定した枚数目に選ばれたカードが現れますが、セカンドディールでやっても同じではないですか。

まさか"Cardician's Journal"の読者の方の中で、この意見と同じ方が多いとは思いませんが、この意見に代表されるように、現象を文章で表現して比較すると、どちらの手法を使っても同じ現象になってしまいます。

しかしながら現象というものは、"どのような不思議なことが起こったか"、ということを表現するものであり、不思議さを含めたもの、しかもその不思議さは観客が実際に感じるものでなければなりません。ところが現象を文章で表現しても、それには不思議さの度合いは表現されません。

'スラップトリック'の2つのやり方で、観客から見た外観でもっとも違うのは、カードのディールの仕方です。セカンドディールではデックの裏面をはっきり見せたくありませんから、持っているデックをかなり手前や右に傾けることになります。'スラップトリック'のディールでは、まったくノーマルディールと同じ見かけになります。なぜならほとんどノーマルディールであり、マルティプルディールするときもノーマルディールとまったく同じ見かけになるからです。

以下のアドレスで、アードネスの'エクスパートアットザカードテーブル'("プロがあかすカードマジック・テクニック"、東京堂出版)を翻訳された、浜野千宏氏が、'Effect is everything'という標題で、産業安全解析研究という立場から、マジックの例をあげて解説されていますが、最後にに"Effect is everything"を、'成果至上主義'と表現しているのが、まことに的を得ています。

http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/column/2004/crab040120.html

まさにマジックにおける現象、効果というものを、観客が受け止めて感じるものであるものとして、"Effect is everything"というのが、金言として響いてくるのです。