= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.311

2015年4月10日

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4Kがもたらすもの

考案したパケットトリックを出版もしくは製造するために、ある協力者に見せるために、演技をビデオに撮影し始めました。古いDVカメラは持っていましたが、HDが当たり前の時代には使い物になりません。そこでどうせなら画質の高いものをということで、ソニーの4Kカメラ、FDR-AXP35を購入しました。

その画質のきれいさに驚かされました。4Kで撮影したものをHDにダウングレードしてもいままでのHDよりも精細に表現できるので、いままでのように手先だけで演じるのではなく、顔も含めて撮影しても、カード面がよくわかります。

手先だけでカードマジックを演じても、演技者の味わいが出ないこと、それが嫌で動画撮影には気が向きませんでしたが、俄然やる気が出てきました。

そういうことで、今日はビデオカメラの利用の仕方について考えることをテーマと決めました。

まず第一に、クオリティの高いビデオカメラは、昔のビデオカメラよりも厳しい指摘をしてくれるということです。昔の動画なら不鮮明であるゆえに、直接観客に見られたら通用しないまずい部分も認知されません。しかしいまのビデオカメラの映像では、重なったカードの厚さはもとより、細かい指の動きの怪しさまで、鮮明に見せてくれます。

ですから、まずい部分を見つけるのに、昔のビデオカメラよりもはるかに役に立つのです。私は演技中に小指が開く癖がありますが、いままで撮影したものでは気になりませんでしたが、今回はとても気になりました。着ている洋服の小さな汚れも、髭のそり残しさえも見えてしまいます。

そのように鮮明に見えることによって、まずさがよくわかるものはハマンカウントです。今回撮影したパケットトリックの中に、ハマンカウントを使うものがあったので、まずい部分をはっきりと見ることができました。スイッチのときに上のパケットと下のパケットの縁が入れ違いになるのがよく見えるのです。このことから、縁の部分が見えにくいやり方をした方がよいことがわかります。

右手のパケットの縁が見えるのは防げませんし、防ぐ必要もありません。問題は左手のパケットが右手に戻るときの縁の動きを見せないようにすることです。

そのパケットの縁を見えなくするには、右手のパケットと同じ位置ではなく、右手のパケットよりも少し手前にあればよいということになります。せいぜい5mmぐらいずれていれば十分です。もちろんそれは、パケットの裏面を観客側に少し倒して行うという前提の話です。パケットを水平に持ってやったのでは、いくらずらしても縁は見えてしまいます。ということで今回つぎのようにやり方を整理してみました。

技法 ナチュラルハマンカウント

'ワイルドカード'のように9枚使用で、5枚目でスイッチを行うものとして説明いたします。

4枚目まで取るのは、左手で左方へ真横に引いて取っていくのではなく、取ったら本の少し前方に運びます。右手のカードより1, 2cm程度前方です。ですから見た目には、左少し前方に向かって取っていくことになります。

結果的にこの動きは、左真横に取っていくやり方よりも、演技としても優れています。

少し左前方に運んだ方が、カードの裏面を見せている感じが強まるのです。ハマンカウントというよりも、ハマンディスプレイとも呼べるものとなります。

さてスイッチのときですが、右手のパケットを左手のパケットよりほんの少し左、そして前方(観客寄り)に位置させて行います。真横に取っていて急にこの位置でスイッチするのは目立ちますが、最初の4枚で左前方への動きをやっているために、ずらした位置でスイッチする動作が目立ちにくくなります。

スイッチ後は、最初の4枚と同じ取り方をします。


YouTubeもHD対応が当たり前になりました。ですから前述のように、顔を含めた演技どころか、テレビ放送と同じような画面作りもできるわけです。そのようなことも含めて、HD動画の利用の仕方を、次週も考察してみたいと思います。