= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.322

2015年6月26日

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カードマジッククリエーターのスタイルについ

先週、ラリー・ジェニングスのカードマジックのことに触れましたが、面白いことがあるもので、その直後にカードマジッククリエーターのスタイルを比較する投稿を、マジックカフェの中に見つけました。ジェニングスについて、かなり私の感じ方と同じようなことを書いているので、私の先生を批評したことについて、少し安堵いたしました。他のマジシャンについてもうがったことが書かれていますので、投稿全体を紹介いたします。

投稿者:ジョー・マッケイ

私の気に入りのカードクリエーターは、ロイ・ウォルトンです。ウォルトンのマジックが素晴らしいことの背景には、構造的に特別なものがあると思います。たとえばあるトリックの準備をするのに、それよりまえに演ずるトリックの中で準備するということもあります。彼の手順構成のあり方として、前半で組み立てたことが、あとで現象として一気に開くということがあります。チェスで言えば、6手でのチェックメイトを組み立てるようなものです。

ビル・グッドウィンは、カードマジックにはまったく新しいというものはない、という考察を書いたことがあります。既存の原理の異なる組合せによって、新しいものが生み出されているというのです。

グッドウィンの作品で気がつくことは、彼はいままでのものと決定的に異なるやり方のものしか発表しないということです。カウフマンはいつかどこかに書いています。グッドウィンが新作を発表するのが楽しみであり、彼の作品は違う星からやってきたマジックのようだと。

ジョン・バノンは私が賞賛するもう一人のクリエーターです。彼は原理を組み合わせるとき、1+1=2ではなく、1+1=3になるようなやり方をすると述べたことがあります。原理と原理が加算されるのではなく、相乗効果をもたらすように組み合わせるということです。

私はエドワード・マルローを天才的なカードマジッククリエーターだと思ったことはありません。彼はまるで化学研究家みたいに、色々な液体と液体を組み合わせたときの結果を報告しているかのようです。そのようなランダムな組合せの中に、たまたま有用なものを見つけたとき、彼はそれをとことん追求します。そしてわずかな違いをも記録にとどめます。そのようなやり方もクリエイトのひとつのやり方ですが、いままで述べてきたようなクリエーターのような傑出したアイデアを生み出すことは希です。

バーノンもまた、マルローのように執念の固まりですが、考えたもののうちベストのものしか発表しません。バーノンが発表するものに含まれたタッチは、時間をかけて熟考したからこそ得られたものばかりです。それは木像を長年かけて磨き上げて完成させるようなものです。

ラリー・ジェニングスの作品を見ると、ダイ・バーノンの影響を感じます。彼もまたひとつのトリックを執念を持って考え続けたことでしょう。しかしながらジェニングスのマジックは、まことにダイレクトなやり方をします。彼はテクニシャンでしたから、現象を生み出すのに自分のテクニックからダイレクトに生み出せる方法を好んだのでしょう。巧妙性を取り入れるよりも、何事もテクニックで解決しようとしました。

私のお気に入りのクリエーターは、ニック・トロストです。彼は巧妙な手法と簡単な技法を使うことを優先します。その結果として、現象自体がシンプルでダイレクトなものになる傾向があります。彼はいくつかの優れたアイデアを見つけたとき、それらをいくつかの異なる現象に発展させようとします。彼の著書を読めば、彼のマジックの構成の仕方のクリアさから多くを学べるはずです。