= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.325

2015年7月17日

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アスカニオスプレッドのあとのパーム

マジックカフェでつぎのような投稿がありました。ドイツ人の投稿なので、もしかしたら英語が彼の言いたいことを表していない可能性がありますので、原文を紹介した上で、私がこの英語から理解した翻訳文を書きます。

I'm looking for a method to secretly remove a single card from a five-card packet. Before, I show the packet via Ascanio''s spread as four (face-up) and after the squaring action I need to get rid of the bottom card. I know a side steal or bottom palm would be an obvious method. Can anyone think of different method? Any help would be greatly appreciated!

私は5枚のパケットから、密かに1枚のカードを除外する方法を探しています。まずアスカニオスプレッドで、表向きの5枚のカードを4枚のように広げ、そしてカードをそろえたあとで、ボトムカードを除外したいのです。サイドスチールとかボトムパームはすぐ思いつく方法ですが、他にやり方はありませんか。お教えいただければ幸いです。


この翻訳が正しいとすれば、彼はなぜ隠れたカードではなく、いちばん下のカードを除外したいのでしょう。よくわかりません。

そもそもこのような質問をする場合、もっと前後の流れを詳しく説明した方がよいと思います。

もしかすると、アスカニオスプレッドを閉じるとき、右手に持った重なったカードをいちばん下に入れてそろえるのでしょうか。そのように質問者が書いたとしたら、彼の目的がわかります。エクストラカードを処分したいのでしょう。

もしそうだとしたら、これもまたエンドクリーン症候群のひとつではないでしょうか。観客が余分なカードが使われていると疑っているとしたら、その疑いを晴らすために、余分なカードを除外するという動作が、よほどうまくやらないと、かえって余分なカードが使われていたことの証明になってしまうかもしれないのです。

投稿者の意図するのがそのようなことでない可能性もあります。ですから目的や脈絡とは関係なく、アスカニオスプレッドしたあと、隠れているカードをスチール方法を考えて、かなりナチュラルにスチールできる方法を見つけました。投稿者の意図がわからないので、マジックカフェにはまだそのやり方は投稿していません。

投稿者はカードをそろえてから、それからカードをスチールすると言っていますが、そのように2段階に分けるよりも、カードをそろえる動作でスチールする方が、全体の動作が簡潔になります。

私はアスカニオスプレッドはいっさい使わないので、プッシュオフカウントして、カードをそろえるときにカウントで隠されたカードをスチールするものとして解説します。

「1枚、2枚、3枚、4枚」とプッシュオフカウントしてますが、左手はそのままの位置で、右手を右、左、右、左と動かして取って行きます。そして4枚目を右手で取ったとき、広がったカードが少し左手から離れます。

すぐに右手を左に戻して、ファンを左手の上に戻し、左親指の先を左から2枚目の重なっているカードの表、左中指の先をそのカードの裏面に当てて、右手で上の2枚のカードを左親指にぶつかるまでそろえます。

そこで右手をいったんカードから離して、甲を上にしてカードにかけ直して、ずれているカードを左にずらしてカードをそろえますが、左中指の先は先ほどのカードの裏面に当てたまま、カードをそろえるのと同時に右にそのカードを押し出します。

すると目的のカードが右手のちょうどオーディナリーパームの位置に入ってきますから、それをパームして、続けてまだ少しずれているカードをそろえる動作を行います。

重要なことは、ファンをいっぺんに閉じるのではないということです。いっぺんにそろえてしまったら、そろったカードを右手でそろえる動作はおかしいのです。少しずれた状態で右手をかけてそろえる動作を行うから、その動作がナチュラルに見え、うまくパームをカバーしてくれるのです。

試しに、そのようなやり方と、いっぺんにカードをそろえてから、そろえる動作でパームするのをやって、両者を比較して見てください。まったく怪しさの度合いが違うことがわかるはずです。

プッシュオフカウントもしくはアスカニオスプレッドのあとに、1枚をスチールするという状況が頭には浮かびませんが、今回の質問について考えたおかげで、パームに関する重要なことを知りました。

それは、カードをそろえる動作でパームをカバーする場合、カードがそろっていてはいけない、ということです。

よくオーディナリーパームの解説において、カードをバームしたあとカードをそろえる動作に続ける、というようなことが書かれていますが、そろったデックでそれをやってみてください。

気をつけましょう。カードをそろえるまえは、カードをずらしておきましょう。