= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.331

2015年8月28日

応援団サイト



Card Magic Video Lesson 第39回

0116 http://www.youtube.com/watch?v=_RX2F_bIuwU&feature=relmfu

このトリックの現象はつぎの通りです。

マジシャンはデックを指さして、「これは何ですか」と相手に問いかけます。相手は「1組のカードです」と答えます。するとマジシャンは、「正確に言うと、これは予言の入っている1組のカードです」と言います。

マジシャンはデックを表向きに広げて、よく混ざっているのを見せたあと、裏向きに広げて相手に1枚抜いて、テーブルに置かせます。

「この中に入っている予言のカードを2枚抜き出します」と言って、2枚のカードを抜いて表向きにテーブルに置きます。マジシャンはその2枚は、選ばれたカードのマークを予言したものと、数を予言したものだと説明します。それらはスペードの9とクラブの6なので、選ばれたのは、スペードの6かクラブの9だと言って、相手に選ばれたカードを表向きにします。ところがそのカードはダイヤの9です。

マジシャンは、「私は2枚のカードの表が予言だと言ってはいません。じつは裏に予言されているのです」と言って、2枚を裏返します。それらの裏面には、ダイヤのマークと9が描かれています。予言が当たりました。

やり方の概要はつぎのように推測します。詳細を書くことは控えます。

両手の間にデックを広げて指ささせていますから、おそらくデックの上半分から抜かせる必要があるのでしょう。

相手が1枚抜いてから、デックを広げて下半分の中から2枚を抜き出しますから、下半分に選ばれたカードに対応するマークと数の描かれたカードが入っているのでしょう。

選ばれたカードに対応する2枚を抜き出すには、選ばれたカードが何であるかわかるようなトリックが必要です。


私は予言トリックで、カードが選ばれたあとに予言を取り出して見せる、という形式を見たのは初めてです。まるで後出しジャンケンみたいなこの予言の提示の仕方は、予言トリックにおける予言の提示方法について考える糸口を与えてくれました。

とりあえず今回わかった、予言の提示方法を3種類リストアップしておきます。名称としては、'オープンプリディクション'は英語として確立されていますが、他はとりあえず今回の仮称ということです。

1.オープンプリディクション

これはすでに'オープンプリディクション'として確立されている通り、これから何が起こるかを明言しておく、というタイプの予言方法です。

2.オーソドックスプリディクション

いちばんよくあるタイプなのです。予言の内容はあらかじめ見せませんが、予言の書かれたものをあらかじめ観客の見えるところに置くやり方です。予言の書かれた紙片をふせて置くとか、予言の入った封筒を置くとかです。

3.ヒドゥンプリディクション

最初に予言が存在することを言わなかったり、言ったとしても予言そのものを示さず、選択がなされたあとに予言を取り出すというタイプです。これは現象面で他の2通りのやり方と異質であるだけでなく、方法的にも明らかに異なります。選択されたものに対応して、準備された中から対応する予言を取り出す、というやり方がされるからです。

映像0116の予言の提示の仕方は、最初に「これは予言の入っている1組のカードです」とセリフで言っているので、表向きはオーソドックスタイプの予言のように思われますが、手法的にはヒドゥンタイプに属しています。そのことから、ヒドゥンプリディクションには、手法的にいくつかのタイプがあることがわかります。

「ポケットの中に予言が入っています」と最初に告げておいて、ポケットの中のカードインデックスから予言を取り出すとしたら、それはこの映像の手法と同類です。

カードケースの中に予言が入っていると言って、あとから密かに予言を入れてしまうというやり方もヒドゥンタイプのひとつです。

予言の紙には何も書いていなかったのに、サムネイルを使って密かに予言を書いてしまう、というのもヒドゥンタイプに属します。

以上の他にも見過ごしている別の原理があるかもしれません。そう言えば"Card Magic Library"第8巻の、'パーフェクトプリディクション'がありました。1人の客だけに予言の文章を読ませて、書かれていることを観客に勘違いさせてしまうなどというのは、上記のどれにもあてはまりません。

彼ははたしてどのようにして選ばれたカードを判定し、それにもとづいて2枚のカードを取り出したのでしょうか。カードが抜かれたところからカットした、というのをヒントとしておきましょう。

ひとつだけ、演技的に変えた方がよい点があります。それは取り出した2枚のカードを指さして、「このカードのマークでこのカードの数、もしくはその反対かもしれませんが、当たっているかどうか見てください」と言って、選ばれたカードを表向きにさせています。

そうではなく、「当たっているかどうか、見てください」と言って、マジシャンがそのカードを取って、その客だけに表を見せるのです。その時点で選ばれたカードを観客に見せない方がよいのです。

相手は当ってないと言います。それから2枚を裏向きにして、マークと数を見せ、それから選ばれたカードを表向きにするのです。予言を見せて終わるよりも、選ばれたカードを見せて終わる方がドラマチックに締めくくれます。

ラフ&スムーズ加工を施せば、デック全体を広げてカードを選ばせられます。ということは、最後に見せる予言のカード以外には、裏面に予言が書かれたカードがないことがはっきり見せられることになります。

しかもです。ラフ加工を使うということは、予言カードを抜き出すときに、表を観客の方に向けて広げて抜き出すことができますから、カードの表を見て予言を抜き出すという、原案の最大の弱点を除外することができます。