= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.340

2015年10月30日

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ひと味変えて、大きく変える

私は2003年の12月に、"Our Magic Mote"というのを発行していました。それをどのような形で提供していたか記憶していませんが、その中に解説したカードマジック作品について、そのままでは埋もれた状態になってしまうので、再録しておくことにいたしました。

ポケットサーチ
= 加藤英夫、"Our Magic Note"、2003年12月23日 =

"Scarne on Card Tricks"(1950年)の中につぎのようなカードトリックが解説されています。

相手によくシャフルさせたデックをポケットに入れます。指先でAを見つけてみせると告げて、手をポケットに入れて、つぎからつぎへと合計4枚のカードを取り出します。それらは確かに4枚のAです。

このマジックのトリックは、あらかじめ4枚のAを抜いてポケットに入れておくことです。それだけであとのやり方はわかりますね。

スカーニがこのマジックを書いた1950年当時は、このマジックが通用したのでしょうか。とてもそうとは思えません。いずれにしても、私はスカーニが書いた通りにはやる気が起きません。つきのようなやり方を考えました。


方 法

あらかじめ3枚の3をポケットに入れておきます。4枚目の3はクリンプをつけてデックの中に入れておきます。

相手にデックをシャフルさせたあと、クリンプカードを中央あたりにカットし、クリンプカードをクラシックフォースします。相手が見ておぼえたら、デックの中に返させて、またデックをシャフルさせます。

この状態で相手のカードを抜き出して当てるのは不可能であるが、不可能に挑戦すると告げ、デックを受け取り、クリンプカードをボトムにカットしてから、デックをポケットに入れます。デックのボトム側を3枚の3の上に重ねるようにします。

手をポケットに入れ、精神集中する演技をしながら、ボトムから1枚の3を抜いて外に出します。まだ裏を相手に向けています。ここで相手のカードをたずねます。手に持っているカードに視線を移し、急にがっかりした表情をします。そのカードを裏向きのままテーブルに置きます。

「もう1枚出します」といって、つぎの3を抜き出し、その表を自分だけが見て、がっかりした表情でテーブルに投げ落とします。

「3度目の正直です」といって、つぎの3を抜き出し、表を自分だけが見て、がっかりした表情でテーブルに投げ落とします。

「4度目の正直です。こんどは絶対に間違いありません」と言って、相手の選んだ3を抜き出し、表を見てニッコリと笑います。がっかりした表情と、ニッコリ笑う表情のコントラストがとても大切です。そして「はい、ダイヤの3です」と言って、その3の表を相手に向けます。

「ところでこちらの3枚も失敗ではないのです。あなたはダイヤの3を自由に選びました。そして私はあなたのカードの仲間をすべて抜き出したのです」と言って、テーブルの3枚を表向きにします。そしてポーズを決めます。

以上が"Our Magic Note"に書いたものですが、クリンプカードをフォースする代わりに、フォースしたあとクリンプしてもよいでしょう。

原理としては面白いと言えるほどのものではありませんが、使えるカードマジックであるのではないでしょうか。