= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.346

2015年12月11日

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ささやかな謎の解明

'天海リヴォルブ'について色々と調査を行いましたが、ひとつだけ理解できないことがありました。それは"Royal Road to Card Magic"(1948年)にヒューガードが解説している'Topsy Turvy Cards'というトリックの中で、下図のような変な形で天海リヴォルブをやっていることです。

左手に持ったデックから右手でカットして、右に返したところですが、解説の文章では、デックの上エンドと下エンドを右手でつかんでカットする、と書かれているのですが、上図ではサイドをつかんでカットしています。

仮に図が正しいとしても、ディーリングポジションに持った状態から、上図のようにカットするには、左手をすごくねじらなければできません。

どうしてこのようなカットの仕方をするのだろうか、ということが謎だったのです。その後ジェームス・トンプソン著"My Best"(1945年)の中に、アート・ライルのトリックとして、'My Clutch Slips'というトリックで、天海リヴォルブを使ったトリックを解説していて、つぎの図のようにやっているのを見つけて、謎が解けました。

左手がデックのサイドを持っている状態で、右手がサイドをつかんでカットしているのです。図1。そして右手を返すと、図2、ヒューガードの解説の図と同じになるわけです。

おそらくヒューガードはトンプソンの解説を参考にしていたのでしょう。普通ならマジシャンはあのようなカットの仕方は絶対にやらないからです。

ヒューガードの解説を念のため再確認しましたが、左手のデックの持ち方は書いていません。たんに右手をデックの上エンドと下エンドにかけてカットする、と書かれているだけです。

はてさて、ヒューガードも天海リヴォルブの考案者をクレジットしていませんが、トンプソンはクレジットしていないどころか、ほとんど天海やガードナーが完成させていたトリックに類似したものを、アート・ライル考案として書いているのです。「"ターベルコース"は読んでないの?」と言いたくなります。