= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.350

2016年1月8日

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マジックは人に見せて完成する

"Cardician's Journal"No.345に、'サムウェアビロング'という私の最新作の現象を書きました。つぎのような現象でした。

デックを表向きにスプレッドして、よく混ざっていることを見せたあと、裏向きにスプレッドして、ジョーカーを表向きに好きなところに入れさせます。ジョーカーの隣のカードを抜き出して、裏向きのまま脇に置きます。ジョーカーは入れられた位置のままにしておきます。

カードをそろえてケースに入れ、魔法をかけてから取り出して表向きに広げると、ニューデックオーダーにそろっています。裏向きのジョーカーがたとえばクラブの6とクラブの8の間にあるとします。脇に置いてあるカードを表向きにすると、クラブの7です。それとジョーカーを入れ替えて終わります。


正直に申し上げて、このトリックは観客に見せるという経験を経ないで、"天海カードマジック遺産"を購入いただいた方へのサービス作品として提供させていただきました。実演経験がなくても、これが私のベスト10作品のひとつであると確信していたからです。

昨年の暮れのボウリング仲間の忘年会で、このトリックを演じました。いざ人に見せるとなると、どのように見せたら効果的かということに考えが集中し、必ずと言ってよいほど、見せ方のアイデアが出るものです。今回はつぎのような演出で演じました。

ジョーカーを裏向きのスプレッドの中に入れさせて、隣のカードを抜いて脇に裏向きに置きます。ジョーカーは表向きにスプレッドの中に入れたままにしておきます。脇に置いたカードを指さして、「このカードが何だかわかりますか」と相手に問いかけると、相手は否定します。「いまからこのカードの表を見なくても、こちらのカードの状態を変化させて、選ばれたカードがわかるようにします」と、「こちらのカードの」と言うときは、スプレッドを指さしながら言います。

スプレッドを閉じてケースに入れ、魔法をかけます。そしてデックを取り出し、「さあいまからカードを広げると、誰が見ても選ばれたカードがわかるようになっています」と言ってから、デックを表向きにリボンスプレッドします。カードが整列しています。ジョーカーのある部分を広げて、「ほら、ジョーカーの左にハートの3があって、ジョーカーの右にハートの5があります。ということはこちらのカードは何のカードでしょう」と、1人の人に向かって問いかけます。

相手はしかるべきカードの名前を言います。「では見てみましょう」と言って、脇に置いてあるカードを表向きにして見せます。そしてジョーカーを抜いてその位置にそのカードを入れて終わります。


ボウリング仲間の驚きようはものすごかったです。'インビジブルデック'を演じたときの反響と同じぐらいのインパクトがありました。観客を沸かせるのはけしてトリックの現象を見せるだけでなく、その現象をどのように味つけして見せるかということ。そのような考え方をひとつひとつのトリックについて考えていけば、まだ私のカードマジックはレベルアップの余地が十分にあると確信しました。

なお、'サムウェアビロング'の解説の掲載期限を2015年12月31日といたしましたが、"天海カードマジック遺産"を年末に注文されて、今年になってから入手された方もいますので、もうしばらくアクセスできるようにしておきます。