= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.353

2016年1月29日

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とんちんかんな回答がするどい解答だった

マジックカフェの投稿につぎのようなものがありました。

最近、オンラインでフォース用のデックを購入したのですが、そのデックはリバーススベンガリになっていました。このデックでは通常のスベンガリデックの手順は演じられません。何か他に使い道があったら教えてください。

リバーススベンガリとは、通常のスベンガリデックが、52枚のうちの26枚がフォースカードで、それらがエンドショートになっているものです。リバーススベンガリとは、フォースカード以外の26枚がエンドショートになっているものです。

いくつかの回答がありましたが、その中でトム・ギャグノンがつぎのように投稿しました。

リバーススベンガリを使う'ACAAN'のバージョンもありますよ。

とこの一言の投稿でした。

これを読んだとき、私はとんちんかんな回答だと思いました。フォースするならエニイカードではあり得ません。たしかに相手が言った枚数をディールすれば、フォースカードを現すことはできます。それはノーマルなスベンガリデックでも同じことです。

しかしよく考えて見ると、ほとんど'ACAAN'と同じ現象を行うことができることが、あとからわかりました。つぎのように演じればよいのです。セリフだけ書きます。

いちばんやさしいACAAN
= トム・ギャグノン提案・加藤英夫アレンジ、2015年12月30日 =

マジシャンの仲間で'永遠のあこがれ'と呼ばれるマジックがあります。それはとてつもなく不思議な現象でありながら、それを実現する方法がいまだに見つけられていないものです。その現象はつぎのようなものです。

まず1枚のカードを自由に決めてもらいます。それから1~52までの内で好きな数を決めてもらいます。そして自由に決められた数だけカードを上から置いていくと、そこから自由に決められたカードが現れるというのです。

私は前人未踏のこの不可思議現象を実現するべく、私の半生をかけて研究してきました。今日、その成果をお見せいたします。

ここに一組のカードがあります。(表向きにドリブルオフスプレッドする)。このようにカードはよく混ざっています。この中からに自由にカードを決めてもらいます。(スプレッドを閉じてデックを裏向きにする)。ランダムに決めるために、このように好きなところからカットしてこのように見ておほえてください。(カットして上半分のボトムをのぞく手法を見せる)。そうしたら持ち上げたカードをもとに戻して、カードをそろえて、どこに行ったかわからなくなるように何回かカットしてください。(そのようにやる)。ではやってください。

(デックを客に渡し、説明したことをやってもらう)。

カードは自由に選んで決まりましたから、つぎは1から52までで好きな数を決めてください。いくつがいいですか。Xですか。それでは上からX枚をテーブルに置いてください。

さて、X枚のカードを置いていただきました。ここからあなたが決めた○○の××が出てきたら、'永遠のあこがれ'のマジックが成功したことになります。ではそのカードを表にしてください。

ジャジャーン!


これがマジシャンの思う'ACAAN'とは違うじゃないかと思う方は、マジックをマジシャンの側からしか見ていないことになります。いかに観客の中に現象を感じさせるか、そのことに全力を注ぎ込むことがマジシャンの仕事なのです。

つぎのように言う方もいるでしょう。

いままでもスベンガリデックの演じ方として、選んだカードが好きな枚数を置いたところから出てくる、というのはありましたよ。

たしかにそうです。だとしたら、上記に書いたことが、そのようなトリックを見せるひとつの演出であるととらえてください。演出を見つけることは、トリックを見つけることと同様に、ときにはそれ以上に大切なことであるのですから。