= 加藤英夫のカードマジック研究報告 =

No.359

2016年3月11日

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"カードマジック創作講座"について

"Card Magic Magazine"の中に'カードマジック創作講座'というのがありましたが、それをさらに発展させた解説書を制作中です。アイデアの出し方から作品としてまとめるまでの考え方など、カードマジックを創作する上での様々なパターンを考察し、説明しています。皆様の研究の参考にしていただきたいと考えています。完成までにもう少しかかります。

講座の第13回では、"Cardician's Journal"の前号で紹介した、'Unexpected Triumph'を取り上げています。フォースしたカードでしかできない点、ハーフパスが必要な点を欠点として指摘いたしましたが、じつはそのとき指摘しなかった、現象としての問題点も抱えていました。

その問題点とは、最後に裏面が全部赤になって、選ばれたカードが表向きに現れたとき、そのカードを抜いて裏側を見せたとき、それも赤裏になっていなければ、現象の起承転結がつかないということです。そうすれば、使っていたカードが全部いつの間にか赤裏に変わっていた、というオチがつくのです。

そのカードが元通りの青裏だった、というのがクライマックスになるでしょうか。

トリックの考案において、存在しているトリックにおける欠点や問題点に着目して、それを解消する方法がないかと考えるのもアイデアを出すひとつの手法です。講座ではその欠点や問題点をひとつひとつつぶしていく過程を説明し、結果としてつぎのような現象のマジックとして完成させています。

ケースからデックを取り出し、両手の間に裏向きに広く広げて、「ふつうはこのように裏向きに広げてカードを選んでもらいますが、今日は自由に選んでいただくため、表向きでやります」と言って、いったんカードをそろえ、表向きに両手の間に広げ、1枚自由に指さしてもらいます。

そのカードを抜き出してよく見せたあと、デックの中に入れます。そしてデックを半分に分けて、一方を裏向き、他方を表向きでよくリフルシャフルします。シャフルまえとシャフル後にリボンスプレッドできるのは、原案と同じです。

私のやり方では、ここでいったんデックをケースに入れます。魔法をかけてからデックを取り出し、表向きにリボンスプレッドします。全部表向きになっていて、1枚だけ裏向きのカードがあります。青裏です。それを抜き出して表を見せると、それは選ばれたカードです。

選ばれたカードを裏向きに戻して、また表向きのスプレッドの中に入れます。それから「いまは青いケースの中に入れて魔法をかけたらこのようになりましたが、もしも赤いケースに入れて魔法をかけたらどうなるでしょうか。やってみましょう」と言います。

ポケットから赤いケースを取り出して、デックを中に入れて魔法をかけます。デックを取り出して裏向きにリボンスプレッドすると、全部赤裏になっています。中央に表向きの選ばれたカードがあります。それを抜き出してひっくり返します。「もちろん、このカードも赤裏になっています」と言って終わります。


講座ではこのバージョンを詳しく解説しています。ただし、'Unexpected Triumph'を持っていないとできません。

講座は第34回まであり、'A New World'を発展させた、'アウトオブジスワールド'系の強化バージョンも解説しています。そのトリックについては次号で説明いたします。

東日本大震災に思う

あの大震災から5年がたちました。今日は午後2時46分に黙祷いたします。わずかばかりの寄付以外に何も手助けしなかった私ですが、被害にあった方々への思いはいまでも持ち続けています。

津波の被害が甚大であると同時に、原発事故の影響はまだ続いていますし、何十年も続きます。あのような被害で電力会社も危機的な被害を受けているのに、そのようなリスクを抱えながら、現在の電力コストを抑えるために原発にしがみつくのは、見るに堪えない醜態です。

私が何かの宗派に属していたら、何か唱える言葉もあるでしょう。でも私はただ祈るばかりです。