カードマジック研究室

No. 001

2016年7月22日




"カードマジック研究室"開始にあたって

私はまだ元気ではありますが、歳による衰えというものが忍び寄ってきているのを感じる今日このごろです。そこで残された時間を有効に使うため、カードマジックを磨き上げるための研究を主体とした、このサイトを立ち上げることにしたわけです。

"たかがカードマジック"かもしれませんが、ほとんど一生をかけて研究してきたものですから、私にとっては"たかが"ではありません。カードマジックが一般の人々に心から素晴らしいと思われるようになって欲しいと願っています。

素晴らしいマジックというものがどのようなものであるか、それを追求することが'カードマジック研究室'の主旨ではありますが、その答をすぐ見つけられるとは思っていません。これから毎週金曜日に書いていくことも、輝く目的地を目指しての実験の繰り返しになるでしょう。

まじめに研究することが、ときにはマニアックな迷宮へ入り込んで、無駄なものを生み出すことがあるかもしれません。でもそれは過程における寄り道のようなものだとお許しをいただいて、これから書いていくことによろしくお付き合いをお願いいたします。

'インビジブルデック'でフォーオブアカインドを現す

ボウリング仲間の会でマジックを見せたとき、あとからやってきた人のためにもういちど'インビジブルデック'をやった、という話を"Cardician's Journal"No.214に書きました。その部分の文章を再録します。

最初は通常通りの見せ方をしましたので、こんどは小泉プロに好きな数を言わせて、その数のカードを4枚、表向きのデックの中で裏向きに現して見せようとしました。ところが小泉プロが言ったのは「K」でした。Kは4枚ひっくり返った状態には見せられません。黒と赤のKが背中合わせになっているからです。

ならば背中合わせになっていることを生かすしかないと思い、私はデックを広げていき、最初のKが現れたところで、その下にくっついている裏向きのカードも見えるようにして、見えているKと裏向きのカードをペアでテーブルに抜き出しました。さらにカードを広げて、もう1 枚のKと隣の裏向きのカードをペアで抜き出しました。

「ほら、小泉さんが自由に指定したKの隣りに裏向きのカードがくっついていました。もしもこの2枚の裏向きのカードが残りのKだったとしたら、すごいでしょう」と問いかけたら、「そんなことあり得ない」と言う人もいました。

そして私は2枚を表向きにしました。かくして、小泉プロにも、そして他のメンバーにも、私のことが強烈に印象づけられたのでした。作戦成功!


この話を思い出して、"もしかしたら、この現象をつねに起きるように演じたらどうかと思いつきました。今回は、それを実現する方法を考えました。

いま考えている現象を実現するには、すべての数のカードについて、Kと同じようにセットすればよいことになります。同じ数のカード同士を背中合わせにセットすればよいのです。

このようにセットされたデックを使えば、私がボウリングの会で4枚のKを現したのと同じように、相手の言った数のカードで同じ現し方ができるわけです。

それができるからと言って、私はこれに満足したわけではありません。このままやったのでは、演出という衣を着せず、現象を素のまま見せることになります。

これをどのような演出でまとめるか、次号までのお楽しみとさせていただきますが、ひとつだけ重要なポイントをお話しておきます。

それは最初にデックを見せるとき、デックを裏向きにスプレッドして、そして表向きにスプレッドして見せるということです。'インビジブルデック'でどのようにしたら、そのようにスプレッドできるか、そして、裏向きと表向きでスプレッドすることが、演出とどのように関わってくるか、次号まで期待してお待ちください。