カードマジック研究室

No. 002

2016年7月29日




インビジブルペアリング
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加藤英夫、2016年7月20日 =

前号で説明した、'インビジブルデック'を使用する、フォーオブアカインドを現すトリックのやり方を解説いたします。

準 備

'インビジブルデック'のペアをすべて外し、いったんすべてのカードを表向きにします。そして、同じ数同士をペアにします。マークについてはどのマークとどのマークをペアにしてもかまいません。そしてペアのうちの上のカードを表向き、下のカードを裏向きにしてくっつけます。

そして26組のペアを重ねますが、ひとつの数については、赤いカードと黒いカードが1枚ずつ同じ方向を向くように重ねます。広げたときに、同じ色の同じ数だけが見えるようにしないためです。

すべてのペアのうち、裏向きの方をエンドショートに加工します。そしてまた26組を重ねます。いまの状態でドリブルスプレッドすると、フェースカードは表向きですが、そのあとはすべて裏向きのカードのように見えます。このように見える側をA側、その反対の向きをB側と呼ぶことにします。

B側を上にしてドリブルスプレッドすると、すべて表向きのカードのように見えます。

カードケースを三日月の切り口を上にして開き、A側を上にしてデックをケースの中に入れます。そしてフラップを閉じますが、いちばん上の表向きのカードの下にさし入れて閉じます。そのようにすると、1枚のカードだけ、三日月の切り口から一部分が露出することになります。

方 法

ケースを左手に垂直にして持ちますが、三日月の切り口の方を手前に向け、左人さし指の先を三日月の切り口のところで、露出しているカードのエンドに当てて持ちます。

右手でフラップを開けますが、開けるまえに左人さし指で露出しているカードを手前に引いて、フラップを開けたら、そのカード以外のカード(51枚)を右手で取り出します。

デックを取り出したら、ケースは手前に倒して、三日月側を下にしてテーブルに置きます。そしてデックをA側を上にして、左手に持ちます。

「いまから1枚のカードを自由に選んでいただきますが、普通はカードを選んでもらうとき、このように裏向きに広げます」と言って、A側を上にしてドリブルスプレッドします。すべて裏向きに広がります。

「でも裏向きに広げると、表が見えないので、好きなカードを選ぶことができません」と言ってから、スプレッドを閉じます。

デックをひっくり返して、B側を上にしてドリブルスプレッドすると、すべて表向きに広がります。「表向きに広げると、好きなカードを選ぶことができます。でも、選んだカードが私にも見えてしまいます」と言って、スプレッドを閉じます。

「本当に自由にカードを選ぶには、カードを使わずに、心の中で選べばよいのです」と言って、左手でケースを取り、デックをいま裏が見えているA面を手前にしてケースの中に入れますが、1枚入っているカードがいちばん手前になるように入れます。セットしたときと同じ状態になります。

「さて、マークは別にして、数についてはAからKまであります。心の中でひとつの数を決めてください」と言います。相手が数を決めたら、「ここから先はイマジネーションの中で進めます。このケースの中から、あなたがいま思った数のカードを1枚抜き出す真似をしてください」と説明して、ケースをさし出します。

「そうしたら、抜き出したカードをこのようにひっくり返して逆向きにしてください」と、ひっくり返す手真似をしながら言います。「そうしたら、そのカードをカードの中に入れる真似をしてください」と言って、ケースの中に入れる真似をさせます。

「あなたが思った数のカードはあと3枚あります。もう1枚のカードを抜き出す真似をしてください。そうしたらそれをひっくり返して、中に入れる真似をしてください」と言って、それをやってもらいます。

「イマジネーションの中では、いまこのカード1組の中で、ある数のカードが2枚、他のカードと逆向きになっています。逆向きになったカードは、同じ数のカードを引きつける力があります。いまこのケースの中で、イマジネーションでやってきたことが現実になりつつあります」と、ケースの方に視線を集中して言います。

「さて、あなたが心の中で選んだ数が何でしたか。5ですね。ではどうなったか見てみましょう」と言って、デックをケースから取り出します。この時点ではどちら側を観客に向けて出しても進められますが、A側を観客に向けた方が、広げたときにエンドショートの存在が見えることがありませんので、A側を観客に向けて取り出します。

カードを両手の間に広げていきますが、1枚ずつ押し出すような広げ方をします。そうしないと、選ばれた数のカードが見えたとき、つぎに裏向きのカードがないが見えてしまうからです。選ばれた数のカードが現れたら、「ここに5がありますが」と言ってから、そのカードのペアを外して裏向きのカードを現し、「隣りに裏向きのカードがあります」と言ってから、その2枚をファンに広げた状態でテーブルに置きます。

さらにカードを広げていき、もう1組も同じように現して、抜き出してテーブルに置きます。残りのカードはわきに置きます。

ペアのうちのそれぞれの裏向きのカードを指さして、「もしもこのカードとこのカードが5のカードなら、イマジネーションでやったことが完全に現実になったことになります。ではご覧ください」と言って、裏向きの2枚を表向きに返して見せます。

備 考

選ばれた数のカードがフェースにあった場合は、最大限そのことを生かしましょう。「ほら、あなたが選んだ数のカードがここにあります。しかも隣りに裏向きのカードがあります」と言って、前述のように進めてください。

フェースから2枚目ぐらいにある場合は、あまり望ましくありませんから、フェースから数組をバックにまわして広げ続けるようにします。フェースから3組の数を記憶しておけば、それに対処できます。

もちろん、そのようなことを気にしないでやってもかまいません。


"Cardician's Journal"で'ヴォワラエーセズ'を取り上げたことが、このトリックを思いつくきっかけになりました。"見えないカード"をひっくり返して入れて、それで不思議を生みだすという発想自体が、エンタテイメントとして面白さを持ったものだと感じさせてくれたからです。