カードマジック研究室

No. 005

2016年8月19日




変身ジョーカー
=
加藤英夫、2016年8月14日 =

現在、"自分で作るトリックデック"(仮題)という本の執筆を進めています。仮題の通り、自分で特別に用意できるトリックデックを使うマジックの作品集です。同書についてはまだ詳しくお知らせできる段階ではありませんが、同書に収録する作品の磨き上げの作業中に、ほとんどノーマルデックにちょっとした加工を加えるだけで、とても面白い現象が実現できるやり方を見つけましたので、今日はそれを発表させていただきます。

現 象

デックをよくシャフルしてから相手に表向きに渡します。相手はカードを表向きにディールしていき、好きなところでストップして、最後に置いたカードをじっと見つめておぼえます。それから残りのカードをその上に重ねてそろえます。

デックを取り上げ、「私はあなたのカードがどこにあるかわかりません。でもあなたはだいたいどのへんにあるか知っています。このように何回かカットすると、あなたもわからなくなります」と言って、マジシャンは何回かカットします。

「シャフルすればもっとわからなくなります」と言って、デックをよくシャフルします。それから表向きにリボンスプレッドします。中からジョーカーを抜き出して、このジョーカーをあなたのカードに変身させます」と言って、ジョーカーを裏向きにして表向きのスプレッドの中に入れます。

スプレッドをそろえ、デックを1回ファローシャフルします。そしてデックを表向きにリボンスプレッドすると、中央あたりに1枚の裏向きのカードがあります。相手の選んだカードを名乗らせてから、そのカードを抜き出して表向きにすると、それが相手が選んだカードになっているのです。

方 法

ジョーカーの裏面中央に、透明タイプのダブルテープの小片を貼っておきます。貼ったあと、粘着面を指先で押して、表面の粘着力を少し弱めておきます。ジョーカーをトップにセットします。

デックを表向きにスプレッドして、よく混ざっていることを見せます。「念のためにシャフルしておきます」と言って、トップカード(ジョーカー)を保つシャフルをやります。リフルシャフルすればよいでしょう。

デックを表向きに持ちます。「私が後ろ向きになっているとき、つぎのようにやってください。カードをこのように1枚ずつテーブルに置いていって、好きなところでストップしてください。たくさん置いてからでもいいですし、少し置いてストップしてもかまいません。全部置かなければどこでストップしてもかまいません。ストップしたら、最後に置いたこのカードをじっと見つめておぼえてください。そして、残りのカードを上に重ねてそろえてください」と説明しますが、ディールする動作、"このカードを"というときにテーブルのカードを指さす動作、残りのカードをのせる動作をセリフに合わせてやります。

デックを相手に表向きに渡し、後ろ向きになり、説明したことをやってもらいます。相手が終わったら前に向き直り、デックを取り上げます。よくそろえて中央を押して、ジョーカーが選ばれたカードにしっかりくっつくようにします。

「私はあなたのカードがどこにあるかわかりません。このように何回かカットすると、あなたもわからなくなりますね」と言って、マジシャンは何回かカットします。

「カードをよくシャフルしてください」と言って、相手にデックを渡し、好きなやり方でシャフルさせます。デックを受け取り、表向きにリボンスプレッドします。中からジョーカーを抜き出して、このジョーカーをあなたのカードに変身させます」と言って、ジョーカーを裏向きにして表向きのスプレッドの中に入れます。

選ばれたカード(とくっついたジョーカー)が下から4分の1ぐらいにいくようにカットしてから、ファローシャフルします。選ばれたカードの部分が1枚おきに入ればよいので、他の部分が1枚おきにならなくてもかまいません。

ウィーヴしたカードを強く押し込んでそろえると、くっついたカードの間に1枚のカードが入り込みます。カードをそろえてから、中央をしっかり押して、入り込んだカードをジョーカーにくっつけます。

デックに魔法をかけてからリボンスプレッドします。選ばれたカードが裏向きに現れ、ジョーカーの裏面は入り込んだカードによって隠されています。

選ばれたカードを名乗らせてから、裏向きのカードを抜き出して表向きに返し、選ばれたカードであることを見せます。

以上のままでも十分トリックとして成立していると思いますが、ひとつのトリックができたと喜んではいけません。"もっと優れたやり方があるはずだ"と信じて考え考え続けることが、クリエーターにとって必要なことです。次号では、考え続けて得られた改良バージョンを解説いたします。