カードマジック研究室

No. 006

2016年8月26日




'変身ジョーカー'の先へ

まず、先週解説したやり方の中で、ひとつ補足しておかなければならない点がありました。ジョーカーを選ばれたカードにくっつけたあと、"相手にデックを渡し、好きなやり方でシャフルさせます"とありますが、リフルシャフルされるとくっついた2枚の間にカードがはさまる可能性があります。ですから、「好きなやり方でシャフルしてください」とは言えません。

その部分はシャフルすることが不可欠な要素ではないので、自分でシャフルすることにしてください。

さて、今週の本題に入ります。私が気に入らない点は、ファローシャフルを使うことです。私はアレックス・エルムズレイがマジックランドでレクチャーをやったときの光景が忘れられません。"Collected Works of Alex Elmsley"には、ファローシャフルをスムーズにやる手法が書かれています。

しかしながら、レクチャーでエルムズレイ自身が見事にファローシャフルをやったとき、私は確信しました。いくらファローシャフルを完璧にやっても、
"ある目的のためにそれをやっている"という感じが発生するのを避けることはできないということを。

もしも手元を見ないでファローシャフルできるとしたら、その感じは弱めることができるでしょう。しかしそれはできません。ボトム部分がきちんと入るか、確実にウィーヴされたかどうか、どうしても見る必要があるのです。そのときの目の向け方と表情が、怪しさを発生するのです。

ということで'変身ジョーカー'を演ずるのに、ファローシャフルを使わずにやるにはどうしたらよいでしょうか。その答えは簡単です。一組全体でファローシャフルするのではなく、2枚のカードでファローシャフルすればよいのです。(シャフルではありませんが)。

選ばれたカードがくっついたジョーカーを取り出して、それを裏向きにして、左手に表向きに持ったデックの左上コーナーからさし入れるときに、間に1枚はさまるように入れればよいのです。ただ普通に入れようとすれば、間にはさまります。2枚はさまってもかまいません。あとは右指先を伸ばしてジョーカー(プラス選ばれたカード)をデックの中に押し込んでそろえてやります。

これで一件落着ですが、ここで落着させてはいけません。まだいくらでもアイデアは出てきます。

ジョーカーを半分ぐらい押し込むと、選ばれたカードと離れますから、その時点でプッシュインチェンジのやり方で、下のカードを密かにデックの中に入れてしまうのです。選ばれたカードだけが半分突き出たかっこうになります。そのままデックをリボンスプレッドします。(広げるまえにデック中央を押して、ジョーカーを上のカードにくっつけておくのを忘れないように)。

選ばれたカードを名乗らせてから、突き出ている裏向きのカードを抜いて、表向きにして見せます。


さて、アイデアを発展させるには、どの観点に着目したらよいでしょうか。それは、ボトムにどのようなカードをセットしておくか、ということが糸口になります。どのように発展していくかは、また次号にて。