カードマジック研究室

No. 011

2016年9月30日




クリエーター佐藤 総氏の世界への登場!

"トランプの悪知恵"に解説された'山火事トライアンフ'で、颯爽と日本のマジック界に登場した佐藤 総氏が、こんどは英語圏においてクリエーターとして華々しく登場いたしました。カウフマン&カンパニーから、"The Secrets of So Sato"として発行されたのです。

佐藤氏から贈呈していただき、最初に読んだのが'Solution 1'でした。それはACAANに属するトリックですが、カードを指定させるやり方を読んだとき、それだけで私の頭にガツーンとくるものがありました。佐藤氏は「1枚のカードを指定してください」とは言わないで、見えないデックから相手に1枚のカードを抜く真似をさせ、そのカードの名前を言わせるのです。

好きな数と好きなカードを言わせると、その枚数目にそのカードがある、という事の運び方が無味乾燥で、私は'ACAAN'がとても嫌いでしたが、見えないデックから抜かせるというアイデアを'ACAAN'に使うという佐藤氏の発想は、私の頭の中ですぐにひとつの演出となって結実しました。つぎのような運びです。

見えないケースからデックを出して、相手に見えないデックを渡し、シャフルする真似をさせます。落ちたカードを拾わせるという、'インビジブルデック'でやるジョークもやります。それからにデックを受け取り、マジシャンの両手の間に広げて、1枚のカードを抜く真似をさせます。抜いたカードがなんであるかを相手に言わせます。ハートの5だとします。

その見えないカードを右手に持たせ、見えないデックを左手に持たせます。「ハートの5を他のカードの中に入れてもらいますが、あまり上とか下に近い位置ではなく、上から10枚目から40枚目ぐらいの間に入れてください」と言って、入れる真似をさせます。

相手が入れる真似をしたら、「あなたは何枚目に入れたと思いますか」とたずね、何枚目に入れたかを言わせます。そのあと見えないデックを見えないケースに入れさせ、それを受け取る真似をします。

「あなたはハートの5を上から27枚目に入れました。いままでのことは想像の中でやってきましたが、その想像を現実に変えてみせます」と言って、見えないケース入りデックをポケットに入れます。そしてしばらくしてから見えるデックを取り出します。

「ほら、カードが見えるようになりました」と言って、デックをケースから出して相手に渡します。「あなたは想像でハートの5を選んで、上から27枚目に入れました。それが現実になっているかどうか、上から27枚のカードを数えながら置いていってください」と言って、27枚ディールさせます。そして27枚目を表向きにすると、ハートの5です。


というわけで、数とカードを指定させて演ずるだけの原始的なやり方よりも、はるかにエンタテイメント性があると思います。

手法に関しては、私がどこかに書いたケースシェルのやり方を使えば、この演出にぴったり合いそうです。ただしその手法を使うには、テーブルの手前に座った状態でしかできません。

ポケットに見えないデックを入れるのですから、相手の言った数とカードによって、入れるポケットを違うものとすれば、けっこうダイレクトなやり方ができるかもしれません。これからの課題としようと思います。

佐藤氏は(株)テンヨーのクリエーターとして、”Tenyo-ISM”でも紹介されています。製品の開発だけでなく、カードトリックの考案もぜひ続けていただきたいものです。