カードマジック研究室

No. 012

2016年10月7日




ドゥーアズアイドゥー・エニエニ
= 加藤英夫、2016年10月7日 =

前号で、'ACAAN'のひとつの演出を説明しましたが、具体的にどのような手法でやったらよいかを考えました。前号では、ケースシェルを使うことに触れましたが、いくら探してもどこに書いたか見つかりませんでした。そこでケースシェルを使うやり方を考え直すことにしました。

以前どこかに書いた方法は、ケースシェルをテーブルに置いておき、相手が数とカードを言ったら、テーブルの陰でデックをしかるべき位置でカットして、右手でケースシェルをつかみ、手前に運ぶときにテーブルの縁で、左手で持っているデックをケースの中にロードしてしまう、というやり方でした。

今回思いついたのは、テーブルの陰でセッティングをやるのではなく、堂々と観客の目の前でやってしまうということです。その発想を思いついたことは、天海師の「道具が教えてくれる」ならぬ、「状況がアイデアを教えてくれる」ということになります。すなわち、"相手に見えないデックを扱わせる"がゆえに、マジシャンが見えるデックで手本を見せることに正当性が発生するのです。

見えるデックで手本を見せる行為の中で、そのデックの中の相手が指定したカードを、相手の指定した枚数目にセットしてしまうのです。そのあと、手本を見せるために使ったデックを、相手が扱った見えないデックとすり替えてしまいます。どのようなことなのか、現象を詳しく書きます。

「これからお見せするマジックは、想像したことが現実になってしまうというものです。ここにカード1組がケースに入っていますが、これは見えないカードです」と言って、相手に見えないデックを渡します。「見えないカードを扱うのはたいへんですから、こちらの見えるカードを使って扱い方を説明いたします」と言って、赤裏のケースに入ったデックを取り出します。

「このようにケースを開いて、中からカード1組を取り出してください」と言って、マジシャンはデックを取り出します。「ケースをこのようにわきに置いて、カードを表向きにテーブルに置きます」と言って、その通りにやります。相手にもやらせます。

「カードをこのように広げてください」と言って、見えるデックをリボンスプレッドします。相手にもやらせます。「そうしたら中からどれでもいいですから、1枚のカードを抜き出してください。私はジョーカーを抜き出します」と言って、スプレッドからジョーカーを前に抜き出します。相手にもやらせます。「あなたが抜き出したカードは何のカードですか」と問いかけ、相手に答えさせます。クラブの7と言ったとします。

「ではそのカードをこのように取って裏向きに返して」と言って、ジョーカーを取って裏向きに右手に持ちます。「右手に持っているカードを表向きのカードの中に入れていただきますが、あまり端に近くではなく、そうですね、右端から10枚目より内側で、40枚目のこのあたりまでの好きな位置に入れてください」と、左手で位置の範囲をさし示しながら言います。「私はこのあたりに入れます」と言って、マジシャンはある位置にジョーカーを入れます。「そうしたら、カードをこのようにそろえてください」と言って、あなたのスプレッドを閉じて、左手に表向きに持ちます。相手にもやらせます。

「あなたは右端からだいたい何枚目に入れたと思いますか」と問いかけ、何枚目に入れたかを言わせます。21目に入れたと答えたとします。そして、「あなたはこのあたりに入れることもできましたし、このあたりに入れることもできました」と言いながら、デックをカットして、その都度裏向きのカードが違う位置にあることを見せます。そして裏向きのジョーカーを表向きにして、デックから抜いてわきにおきます。

「つぎにカードをケースの中に入れてください」と言って、マジシャンはデックをケースに入れます。相手にも入れる真似をさせます。「そうしたらケースに入ったカードをこちらの帽子の中に入れていただきます」と言って、マジシャンはシルクハットの中にいったんデックを入れ、すぐに外に出します。相手に入れる真似をさせます。

マジシャンは使った赤裏のケース入りデックと、ジョーカーをポケットにしまいます。

「それでは帽子の中に入っている見えないカードに対して、このように魔法をかけてください」と、マジシャンは魔法をかけながら言います。相手が魔法をかけます。

マジシャンは帽子の中から青裏のケースに入ったデックを取り出し、「ほら、あなたのカードが見えるようになりました」と言います。ケースのフタを開いて、相手にデックを取り出して表向きに持たせます。

「あなたはクラブの7を21枚目に入れたと言いました。そのように想像してきたことが現実になっているはずです。21枚のカードを数えながら置いていってください」と言って、相手にカードを表向きにディールさせます。21枚目に裏向きのカードが現れます。そのカードを受け取ります。

「このカードがクラブの7であったら、このマジックは大成功です」と言って、そのカードを表向きにします。クラブの7です。


以上が現象ですが、方法もすでに完成しています。近い将来に発行される"自分で作るトリックデック"(仮称)に収録しようと思っています。ご期待ください。