カードマジック研究室

No. 019

2016年11月25日




手順の流れに適した技法を使う

ストライクセカンドディールという技法は、いままで実際の演技で使っていたときには、それほど怪しさを発生させるものではないと思ってきました。しかしながら今回、ストライクセカンドディールを連続して使用するトリックを動画撮影して、同じ位置で、同じ脈絡で、何回もストライクセカンドディールを連続させるのは危険なことがわかりました。その経緯を動画でご覧ください。

https://youtu.be/vJSjj7m8hCY

動画で説明していることの主旨はおわかりいただけたと思います。2枚をぴったりそろえて押し出して右手で取った方が、たとえ瞬時でも前エンドでずれが発生するストライクセカンドディールよりも安全であるということです。

しかしながら、ダブルプッシュオフセカンドディールがつねにストライクセカンドディールより優れているわけではありません。つぎからつぎへと連続してカードをディールする場合には、ダブルプッシュオフセカンドディールは適していません。

技法というものには、手順の脈絡に適したやり方を使うべきだということは、機会あるごとに申し上げてきました。今回の例では、セカンドディールするまえに、ナチュラルにつぎの2枚の下にブレークを作れますから、ダブルプッシュオフセカンドディールがうまく使えるということです。

動画の方では指摘していませんが、セカンドディールを使う場合に、重要なポイントがあります。それは、セカンドディールしてカードを置く位置です。動画でも右手前に置いています。右手前に置くことによって、デックをビベルさせることがおかしく見えないのです。

動画では演技範囲が狭いので、ビベルが大きく取れませんでしたが、実際の生の演技では、3枚ずつのカードを8カ所に置くとき、もっと前の方に置きます。そうすれば、セカンドディールして1枚置くときに、もっとビベルさせて手前に置いてもおかしくないからです。

ということで、技法は手順に適したやり方を使う、テーブルという舞台の位置を計算に入れて組み立てる、ということの重要性を書かせていただきました。

とここまで書いて、突然閃きました。もっとセカンドディールが気にならない方法があったのです。セカンドディールしたカードを表向きに置けばよいのです。表向きに置くのなら、大きくビベルさせてもおかしくないのです。ダブルプッシュオフさえ使う必要がないぐらいです。いいえ、ストライクの方が流れがスムーズに運ぶに違いありません。

表向きに置くと、カードの順が逆になりますから、その違いは8カ所に置くパケットの位置を逆順にすればよいのです。

というわけで、使う技法の選択を手順の脈絡に合わせるのみならず、その技法のやり方さえも、なるべく怪しさを発生しないやり方を考えなくてはいけない、ということを気づかされました。それが今回の最大の収穫と感じつつ、もうひとつの収穫に気づき、思わず喜んでしまいました。

それは、セカンドディールを使うトリックは、セカンドディールの苦手な方には敬遠されがちですが、このトリックでは大きくビベルしていいのですから、セカンドディールに自信のない方にも演じてもらえるということです。

なお、セカンドディールのこととは関係ありませんが、今回動画でお見せした演技では、ひとつやり忘れたことがあります。最初にデックを表向きにリボンスプレッドして見せたあと、デックを1回リフルシャフルできるのです。それでもなお、あのような現象が演じられます。

“自分で作るトリックデック”にご期待ください。