カードマジック研究室

No. 024

2016年12月30日



ミスディレクションパーム

前号では、パームするときに右手をデックにかける理由が、手順の脈絡の中で必要であることを書きましたが、今回取り上げた'ミスディレクションパーム'には、技法自体に明確な理由づけが含まれています。カードをデックの前エンドから挿入するという明確な動作がその理由となっています。

'ミスディレクションパーム'の説明動画をご覧ください。

https://youtu.be/sXGSL5G_5k4

'ミスディレクションパーム'では、カードを押し込むという理由だけでなく、押し込んでいるという動作を強調するという積極的な動作でパームをカバーしています。

このように右手をデックの上にかける理由にも、たんにカードをそろえるという付随的な動作があったり、'ミスディレクションパーム'のように、より明示的な動作を用いるものもあるわけです。

このようなことを考えてくると、デックのトップからカードをパームするという技法は、その動作だけで成立すると考えるのではなく、理由づけの動作を含めたセットでひとつのまとまったもの、と考えた方がよいのではないかということになります。

そのような考え方はは必ずしも「理由づけ+技法」ということだけでなく、「準備+技法」というセットにも当てはまります。ひとつの例をあげます。

トップから1枚のカードを取ってティルトするのと、テーブルからカードを取ってティルトするのでは、ゲットレディとしてのブレークの作り方が違ってきます。

トップからカードを取ってやる場合は、トップカードを取るときに、つぎのカードを少しプッシュオフして、ブレークを作ることができます。トップカードを取る動作がそれをカバーしてくれるからです。

しかしながらテーブルからカードを取るときに、同じやり方でブレークを作ると、左手の動作が丸見えになってしまいます。デックを右に傾けてやったり、プルダウンによってブレークを作ったりすることになります。

まさにマルローが提供してくれた'ミスディレクションパーム'は、そのような技法+αのセットで考えることの重要性を教えてくれました。今後、その着眼点でも研究していきたいと思います。


"カードマジック研究室"次号、第25号は、新年1月1日に発行いたします。