カードマジック研究室

No. 043

2017年5月8日



澤浩夫妻との2日間

本来はこの号は、5月5日にアップロードするべきでしたが、6日から7日にかけて澤浩氏の家を訪問することを気にしていて、それを忘れていました。今日は疲れていて、動画をアップロードするのも、カードマジックを書く気力もありません。ですから、澤さんの家をたずねたときの、ちょっと苦い出来事を書くことにさせていただきます。

今回の旅行は、中村安夫さんと宮中桂煥さんとともに、澤さんと第3回天海フォーラムの打ち合わせをするためでした。本題の打ち合わせが一段落したあとは、当然ながらマジックを見せ合うという楽しい時間が始まります。

楽しいはずが、他の皆さんはともかくとして、私としては恥ずかしい想い出を作ってしまいました。それはこういうことです。

澤さんが、あるカードトリックを見せてくれました。澤さんはすごく気に入っていましたが、ディールしたカードを再度ディールするという類のトリックで、その点が複雑だと感じたことは、そこにいたすべての人の顔つきでわかりましたし、宮中氏や私は遠慮がちにその点について意見を言いました。

その夜、ホテルに着いて、風呂に入ったあとすぐに寝込んでしまいました。東京からのドライブと、重要な打ち合わせの仕事と、マジックの話や見せ合いによって、ぐったりでした。

夜中に目を覚ましたら、澤さんに見せられたトリックのことを思い出し、複雑さを低減するやり方がないかと考え始めました。いくつかのアイデアは思いつきましたが、「これは」というものには至りませんでした。どうせなら違う原理で似た現象をやることに方向転換して、ヘンリー・クリストの'タリホー!'の原理でやることを考えました。そして自分ではうまいやり方を見つけたと思い、枕元の明かりをつけて、思いついたやり方をメモしました。時計を見たら2時58分でした。

翌日また澤さん宅において、打ち合わせの続きのあと、またしてもマジックの見せ合いがありました。私は自分では面白いと思って考えた、夜中に思いついたトリックを演じたのですが、半分ぐらい演じたところで手が止まってしまいました。私は「なぜかこのトリックはよくない気がしてしまいました」と言いました。にもかかわらず、最後までやりました。

そのときの澤さんの顔は、私の胸に一生残るものに違いありません。あれほどマジックを見せて嫌な顔をされたことはありません。「それは全然面白くないですね」と言われましたが、私には「それはまったくひどいですね」と聞こえました。


いま考えたら、まったくひどいトリックでした。せっかくまえの夜に見せたトリックは大好評だったのに、それを帳消しにするどころか、とんでもない悔恨の想い出を作ってしまいました。

皆さん、マジックを演じている途中で受けそうもない予感がしたら、ためらわずにやめてしまいましょう。その方が最後までやるよりよい場合があるのです。

はてさて、そのようなことがありましたが、この2日間は素晴らしいひとときを過ごすことができました。澤さんのマジックは昔にも増して素晴らしかったです。第3回天海フォーラムは今月の21日にせまっています。あと数席残っているようですので、ぜひ参加をお奨めいたします。