カードマジック研究室

No. 058

2017年8月18日



"トリック・デック・ミラクルズ"の内容紹介

今週は"トリック・デック・ミラクルズ"について、内容紹介をさせていただくことにいたしました。演技動画はアップロードしていません。

第1章 ノーマルデックのスタック

ノーマル・デックをスタックしたデックを使用するトリックが7種類解説されています。準備するのにそれほど時間がかかりませんので、読んですぐトライしていただけます。

この章でとくに面白いのは、'クアドラプルツイン'です。デックを二分して相手とマジシャンが持ち、それぞれのパケットを適当なところでカットして上下を入れ替えます。そして相手とマジシャンが1〜26の間の好きな数を2つずつ指定します。2人同時にディールしていき、指定された枚数目のカードを抜き出して、ペアにしていきます。そのようにして抜き出された4組のペアを表向きにすると、すべて同色同数のペアになっています。

このトリックはミラースタックを使うものですが、いままでミラースタックでは、マッチングペアを1組現すという原理はよく使われてきましたが、4組のペアを現せるのは、おそらくこのトリックが初めてだと思います。

第2章 ショート&ロング・デック

'スベンガリ・デック'のように、ショートカードとノーマルカードが交互にスタックされたデックを使用するトリックが4種類解説されています。とくにお奨めのトリックは、'サイド・バイ・サイド'というつぎのような現象の作品です。

赤裏デックをシャフルして、よく混ざっていることを見せます。カードをディールしていき、観客が好きなところでストップをかけ、ストップがかかったところのカードを見ておぼえてもらいます。その上に残りのカードを重ねます。

ここでマジシャンは青裏のカードを1枚取り出して、そのカードをポケットの中に入れて、デックの中に飛行させると言います。飛行させる仕草をしたあとデックをリボン・スプレッドすると、赤裏のスプレッドの中に青裏のカードが1枚あります。

青裏のカードとその隣の赤裏カードを抜き出して、赤裏のカードを表向きにすると、それは選ばれたカードです。ここでマジシャンは「そのカードが選ばれるのがわかっていたので、青裏もそのカードにしておきました」と言って、青裏のカードを表向きにします。それは選ばれた赤裏のカードと同じカードです。

第3章 マークト・デック

この章には、マークト・デックを使用するトリックが9種類収録されています。バイシクルのライダーバックを使って、自分でマークをつける方法が解説されていますので、ノーマルデックを加工して作ることができます。

先週動画で紹介した。'ものすごーい透視術'は、そのような自作マークト・デックに、さらにショート&ロング加工したデックを使用しています。2枚のカードを裏向きに置くと、上のカードの裏面は見えますが、下のカードの裏面は見えません。下のカードが上のカードと関係のあるカードかというと、そうではありません。そこには、ワンアヘッドの原理が働いています。

この章には、'オーダーマーク'という私の考案したマークの手法が解説されています。それはたんに、カードの裏面に順番を示す印がついているものです。"カードマジック研究室"第53号で動画を紹介した、'カット&ロスト'はオーダーマックを使用した新しい原理による作品です。

動画の中で、相手が一方のパケットのボトムカードを見てからカットして、他方のパケットと並べて置きますが、そこまでマジシャンは見ていなくても、そのあと2つのパケットのトップカードのオーダーマークを見ることによって、あの動画のように、選ばれたカードがどちらの組にあり、それが何のカードであるか、そして何枚目にあるかわかってしまうのです。

この章には、いままで使われているを見たことがない、極秘中の極秘のマークト・デックが解説されています。名前を書いてしまうと、どんなものか想像がついてしまうので書きませんが、シャフルされたデックのトップカードのみならず、デックの中にあるカードも認知できてしまうマークシステムです。

第4章 ストリッパー・デック

この章には、市販のストリッパーデックをそのまま使用するものや、それに加工を加えて演じるものが、17種類解説されています。

'フォー・オブ・オール・カインヅ'では、表向きにリボンスプレッドしてもよく混ざっているように見えて、ストリッパーデックの機能で引き抜くと、同じ数のカードが集まってしまうという機能を使用しています。

"カードマジック研究室"第51号で動画を紹介している、裏向きのカードと表向きのカードででたらめに混ぜてしまったものが、全部向きがそろってしまうというのは、市販のストリッパーデックをさらに加工して、あのようなことができるようにしたものです。'孫のおかげで'という作品は、その機能を利用した'トライアンフ'現象のトリックです。

第5章 市販トリック・デック

市販のトリックデックを使用して、パワーアップしたトリックが6種類解説されています。

サムウェアビロング (OCDデックの応用作品)
アフター・ザ・トライアンフ (アルティメートトライアンフ応用作品)
裏と表の予言 (ミラージュデック応用作品)
トイレの落書き (ミラージュデック応用作品)          
インビジブルデック・加藤版 (インビジブルデック強化方法)
そっくりカード (アルティメート・ブレーンウェーブ・デック応用作品)

第6章 特殊カードのスタック

ダブルバックカードやフェースブランクカードなど、特殊なギャフカードをノーマルデックと組み合わせて使用するトリックを3種類解説しています。

第7章 創作トライアル

ポケットの中に隠されたカードを当てる現象を、異なるトリック・デック、異なる原理によって6種類のバージョンを解説しています。

第8章 参考作品 

第7章までの作品の土台となった原案、7作品の解説です。すべてノーマルデックで演じるトリックです。

メモリー・ジニアス (加藤英夫)
ミラーパワー  (ピター・ダフィ)
レッド&ブラック (ジョン・ケネディ)
サイキックプリディクション (チャールズ・ジョーダン)
バイナリーメモリー (加藤英夫)
マインドコントロール (マックス・ホールデン)
アブラカダブラ (加藤英夫)

第9章 トリック・デック物語

様々なトリック・デック誕生にまつわるエピソードを集めました。

第1話 ツーカード・モンテにまつわる話
第2話 ブレーン・ウェーブデック誕生
第3話 'インビジブルデック'の演出は誰が考えたか?
第4話 ストリッパー・デックヒストリー
第5話 ショート&ロング・デック小史
第6話 あるカードトリックの歴史

'インビジブル・デック'の演出は、ジョー・バーグが1936年に'ウルトラ・メンタル・デック'を発売してすぐ、エディ・フィールズが考えたというのが定説でしたが、その定説をくつがえすかもしれない証拠が見つかったことが、第3話に書かれています。

そこに指摘されている映画、'オリバー8世'(Oliver The Eighth)が、YouTubeに存在することを見つけました。以下のアドレスにアクセスしてください。

https://www.youtube.com/watch?v=F6xLmE-kAO0

このアドレスで見られなければ、映画の題名で検索していただければ、かなり多くのサイトで見ることができます。

第9章を読んでいただければ、マジシャンは昔からトリック・デックを活用してきたことがわかりますし、トリック・デックを使用する楽しみも増えることと思います。

"トリック・デック・ミラクルズ"に発表した数々の新しい原理が、多くのマジシャンによって発展されることを期待しています。そして何よりも、ノーマルデックでは演じられないパワフルなカードマジックを楽しんでいただきたいと願っています。